親と子のコミュニケーション術

子どもの転校、保護者が注意することは 生活の変化は大きなストレス 共感、寄り添う意識を

2022.05.18

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ゆきどっぐ
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転校による生活の変化は、子どもに大きなストレスを与えます。中には転校をきっかけに、「学校へ行きたくない」と言い出す子どもも。転校の前後で子どもにはどんな課題があるのか、保護者は子どもをどうケアすればいいのか。不登校支援などを行うカウンセラーの羽根千裕さんにお聞きしました。

Chihiro_Hane

話を聞いた人

羽根千裕さん

公認心理師、産業カウンセラー

(はね・ちひろ)一般社団法人不登校支援センター東京支部長。高校での講師経験や、児童養護施設職員としての経験を活かし、不登校の問題解決への支援を行う。主な活動に、カウンセリング、コーチング、講演、学校でのメンタルヘルス授業など。

「学校へ行きたくない」と言う2つの背景

――転校をきっかけに、「学校へ行きたくない」と言い出す子どもはどのくらいいるのでしょうか。

わたしが相談を受けている中では10%未満で、そこまで多くはない印象です。

転校をきっかけに「学校へ行きたくない」と言い出す背景は、いじめや教職員によるハラスメントのほかに大きく2つ考えられます。1つは、その子どもが学校に対して苦手意識を持っていること。もともとそういう子は集団生活にストレスを感じやすく、人間関係を一から構築することに負担があるんです。

もう1つは、転校前の環境が本人に非常に合っていたケースです。転校先の環境に戸惑いを覚え、学校への行き渋りが出てくるようになります。例えば、カウンセリングを担当した中で、中学校から日本の学校へ転校してきた帰国子女がいました。その子は風土も人間関係も大きく変わったことに戸惑い、課題の量や厳格さにも苦手意識があるようでした。でも、人と接するのが好きな子だったので、まずは新たな学校環境に慣れていき、最終的に学校へ通えるようになりました。

――どうすれば、転校によって学校へ行けなくなる事態を避けられるのでしょうか。

まずは、転校前のケアをしっかりと行うことですね。子どもが転校に対して主体的に向き合えるようにフォローすることが大切です。できれば、新しい学校へ見学に行く時間を設けて、転校後の姿が想像できるようにしてあげたいですね。そうすれば、子どもも自分で「転校したらどういうことがしたいか」を考えやすくなります。

避けたいのは、保護者が勝手に転校を進めた結果、子どもに被害者意識が芽生えること。家族の引っ越しは、保護者にとって負担が大きいため、子どもの気持ちは後回しになりがち。そうすると、子どもが転校先でネガティブな経験をした際に、「こんな学校に来たくなかったのに」「親のせいでこうなった」と他責の念が強くなります。

――子どもも一緒に引っ越し・転校について、考えられるようにすることが大事なんですね。

そうです。あとは「こういう事情で転校するんだけど、どんなふうに思った?」と子どもに聞くのもいいでしょう。こうした言葉かけによって、「あなたも家族の一員で、保護者と対等な関係性である」という姿勢が示せます。そうすることで、「家族として転校に協力しよう」という気持ちが子どもに生まれると思います。

もちろん、思春期になると話を引き出すのは難しくなります。でも、ここで大事なのは、無理に気持ちを引き出すことよりも、「あなたの気持ちはいつでも聞くよ」という姿勢を示すことです。

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