「大学付属校」の現在地

日大豊山、人気の理由は二つのブーム 「男子力」磨くジェンダー教育を実践 大学進学は幅広い選択肢

2022.06.03

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葉山 梢
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大学付属校や系属校人気を、学校側はどう捉えているのでしょう。全国に26校ある日大付属校のなかで唯一の男子校で、志願者増の傾向が続く日大豊山高校・中学(東京都文京区)の松井靖校長と、広報主任の田中正勝教諭に話を聞きました。(写真は校舎内のエスカレーターを使って登校する生徒たち=同校提供)

松井靖

話を聞いた人

松井靖さん

日大豊山高校・中学 校長

(まつい・やすし)1960年千葉県松戸市出身。日本大学豊山高校、日本大学文理学部英文学科卒業後、日本大学習志野高校(千葉県船橋市)、日本大学中学校(横浜市)などを経て2016年より現職。

田中正勝

話を聞いた人

田中正勝さん

日大豊山高校・中学 広報主任

(たなか・まさかつ)1969年東京都板橋区出身。日本大学豊山高校、日本大学法学部法律学科卒業後、民間企業、大学院修士課程、他校専任教諭を経て2013年より広報を担当。

中学受験で男子校ブームが起きている

――2022年度は減ったものの、ここ数年右肩上がりで志願者数を増やしています。

松井 風に乗ったのだと思います。一つは付属校人気。コロナ禍で先が見通せないことの影響もあり、子どもの進路の面で安心したいという気持ちが親御さんにあります。無理して背伸びするより、浪人の心配もなく安定した進路を選びたいという安定志向を感じます。

もう一つは中学受験ブーム。特に男子校ブームとも言える現象が起きています。私はいくつかの日大付属校で勤務してきて、今の時代に男子校・女子校は合わないと思っていましたが、この学校に来て男子校のメリットを客観的に見られるようになりました。

田中 他の男子校と協力して「東京私立男子中学校フェスタ」を毎年開くなど、男子校の魅力をアピールしてきました。他校も含め男子校の合格者の歩留まり率は高く、同じ文京区の独協、京華といった男子校も志願者数が増えています。

男子の6年間の成長を見ると、やはり女子とは違う傾向があります。ジェンダー観が偏るのでは、と指摘されることがありますが、共学でないとジェンダー教育はできないのでしょうか。男子校にしかできないことはあります。

――どんなジェンダー教育に取り組んでいるのですか。

松井 共学校にいたとき、部活の合宿を引率することがありました。男子は力仕事、女子は食事の配膳といったように、生徒も教員も男子と女子の仕事を当たり前のように分けてしまう。そのような環境で育った子たちが社会に出たら、やがて「家事や子育ては女の仕事」となってしまうのではないでしょうか。

一方、男子校は全部自分でやらないといけません。私も本校の卒業生ですが、家事をやるのは当たり前。妻より帰宅が早いので夕食の準備は私がやっています。コロナ禍でオンライン授業となったときは、「男の料理教室」の動画を配信して好評でした。

数年前から男性の先生も育児休暇をばんばん取るようになりました。授業に穴を開けないための覚悟とバックアップは必要になりますが、どんどん取ってほしいと話しています。先日も1人の先生が育休を取ることになり、担任をしているクラスの生徒たちに「先生の生き様や子育ての様子を見てほしい」と話していました。働く男がしっかり育休を取るところを生徒に見せることで、その生徒が大人になったときに堂々と育休を取り、時代が変わっていく。こんなにいい教育はないと思っています。

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