学習と健康・成長
「感覚過敏の人も暮らしやすい社会を」12歳で親子起業、アパレルブランド展開の道のり
2022.06.15

学業は最低限に。仕事優先で事業拡大を目指す
――どのように学業と仕事を両立していますか?
僕は中学2年生の秋に、感覚過敏によるさまざまな困難などにより、通っていた私立中学校を退学し、角川ドワンゴ学園 N中等部に編入しました。現在は、通信制の角川ドワンゴ学園 S高等学校に通っていて、自宅でオンライン環境で勉強をしています。
僕の場合は、中学生時代からスケジュールは仕事優先で、勉強はスキマ時間にしています。ただし、学校の課題は期限内に提出するし、テストも合格点を取ると決めています。100点は目指さないけれど、最低限はやるスタンスです。勉強が必要ないと思っているわけではなくて、必要なときに学べばいいかなって。本当に必要だと思えば人は勉強するはずなので、その人のタイミングで学べばいいと考えています。

――事業における目標を聞かせてください。
感覚過敏の人にとっても暮らしやすい社会にしたいという大きな枠での目標はありますが、あまり細かい事業ごとの目標は立てていません。
海外の事例でいうと、サッカースタジアムに「センサリールーム」と呼ばれる静かに観戦できるスペースが設けられたり、スーパー内で日時を限定して館内放送を止めたり、照明を暗くしたりする「クワイエットアワー」という取り組みが行われたりしています。
カンカクファクトリーに関しては、立ち上げ時のクラウドファンディングで1日に100万円を超える資金が集まるなど大きな反響があったものの、企画から生産、販売といったアパレルブランドとしての流れがスムーズではなく、手探り状態です。そのため、まずはこの状態を抜け出し、着心地の良い服を安定的に作り提供していける状態にしたいです。
――高校卒業後の進路は決めていますか?
現時点では、通信制の大学に進学するのが自分には合っているのではないかと感じています。感覚過敏に関する勉強がしたくて、大学生にならないと閲覧できない論文もあるので、そういった高度な学びを得ることが目的です。
(写真提供:クリスタルロード、編集:野阪拓海/ノオト)