新しい教育のカタチを考える

「文化コード」で争いのない世界を考える 山脇学園中高の国際教育プログラム「世界共通教育」とは?

2022.06.10

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市川 理香
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山脇学園中学高校(東京都港区)は今年度から、中学3年生で国際教育プログラム「世界共通教育」を導入しました。いったいどんな授業なのでしょうか。授業を見学しました。(写真は、モニターにスライドを映し出し、タブレットを操作しながら、身ぶり手ぶりを交えての発表の様子=2022年5月、東京都港区の山脇学園中高、市川理香撮影)

文化コードで世界を読み解く

山脇学園中学高校は、2009年から教育改革「山脇ルネサンス」をスタートさせ、イングリッシュ、サイエンス、リベラルアーツに特化した設備も整備し、生徒の志をかなえる教育を行ってきました。

今年の高校1年生から実施された、新しい学習指導要領を前に、同校では人文科学、社会科学、自然科学の視点を融合した「総合知」をコンセプトにカリキュラムを教養重視型に再編成。探究的な学習活動をより一層推進しています。今年3月、同校が芝浦工業大学と「探究型教育プログラムを構築していく」教育提携を結んだというニュースは、女子の多様な学びや進路を推し進めてきた学園として、とても自然な流れだったと言えるでしょう。

その山脇学園が、今年度から中学3年生に導入した国際教育プログラム「世界共通教育」の授業を5月下旬、見学しました。

山脇学園中学高校=同校提供
山脇学園中学高校=同校提供

「世界共通教育」は、一般社団法人グローバル教育研究所が開発した国際教育プログラムです。価値基盤の異なる三つの文化コードを理解し、グローバル時代において持続可能な世界、争いのない世界を作る方法を考えようというものです。

三つの文化コード
・モラルコード(人間関係重視。儒教、キリスト教旧教がベース)
・レリジャスコード(神の教え重視。イスラム教がベース)
・リーガルコード(法律重視。キリスト教新教がベース)

中3英語チャレンジクラス(2クラス)の生徒が、1学期から取り組んでいます。国際社会を意識して英語力を伸ばし、ダイバーシティーやSDGsなどをテーマにディスカッションや校外学習を行い、来年3月には総まとめとしてイギリス語学研修に参加することになっています。

「世界共通教育」授業を担当するのは、認定講師でもある英語科主任・グローバル教育担当の高瀬聡伸先生と、フランス語のネイティブ教員アンソニー・オズモンド(Anthony Osmond)先生。教師側はお仕着せのプログラムを「こなす」のではなく、自分の経験や世界の見方も生徒に伝えながら、共に考えていきます。

プログラム導入を決めたのは、ロシアによるウクライナ侵攻前。戦争や国際連合の機能など、国際社会が直面した問題と授業が並行して進む事態になるとは、誰も想像だにしなかったでしょう。いやが応でも戦場の動画、画像、肉声が直接届く時代だからこそ、教頭の鎗田謙一先生は「文化コードが違うと、どういうトラブルが起きるかを考える世界共通教育が持つ意味は大きい」と言います。「文化コードを知って、どんな国の人でも命が一番大切だということを前提に、高いところから地球を見つめるグローバルアイを持つ。そのことで平和を作っていこうという倫理観を提唱しているところは、このプログラムの卓越したところ」、つまり、どのコードが良いとか優れているとかいうことではなく、それぞれが基盤とする価値観、その特徴を理解した上で、「バランスよく考える力を身につけるということ」と解説します。

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