一色清の「このニュースって何?」

トヨタ、市販向け水素エンジン車開発 → 水素が注目される理由って何?

2022.06.10

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は鈴鹿サーキットのピットで整備中のトヨタ自動車の水素エンジン車=2021年9月、三重県鈴鹿市)

水兵、リーベ、僕の船

水素に関する記事やニュースが増えています。トヨタ自動車は6月3日、水素エンジンの実証実験車を開発したと発表しました。このニュース以外にも水素で飛ぶ飛行機の開発とか水素で発電する事業の検討とか、水素に関する話題がさまざま出るようになっています。

背景には、地球温暖化問題があります。これまでの主要なエネルギー源である石油、石炭、天然ガスといった化石燃料は、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を出します。地球温暖化を防ぐかぎとしてCO2の排出量を減らすことが地球規模で迫られていて、化石燃料に代わる有力なエネルギー源のひとつとして水素が候補に挙がっているのです。

水素は化学の授業で必ず習う元素です。元素は万物をつくるもとになっている物質で、今のところ知られているのは118種類あります。すべての元素はアルファベットで表記され、軽いものから順番に番号をつけられ、周期表という表にまとめられています。周期表の1番が水素です。つまり、水素が一番軽い元素ということです。

余談ですが、周期表には覚え方があります。語呂合わせで覚える方法が有名です。語呂合わせは、地域、年代、先生によって微妙に違うと思いますが、1番から10番までの覚え方は同じだと思います。周期表では1番から、水素(H)、ヘリウム(He)、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、フッ素(F)、ネオン(Ne)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、イオウ(S)、塩素(Cl)、アルゴン(Ar)と並んでいます。これをまず1番から10番までで、「水兵、リーベ、僕の船」と覚えます。リーベとはドイツ語で恋人のことです。水素とヘリウムで「水兵」、リチウムとベリリウムで「リーベ」、ホウ素のBと炭素のCで「僕」、窒素のNと酸素のOで「の」、フッ素のFとネオンのNeで「船」という具合です。

このあとはいろいろなバリエーションがあるようですが、わたしが教わった先生は「な、まあ、シップス、苦労ある」と教えてくれました。ナトリウムで「な」、マグネシウムとアルミニウムで「まあ」、ケイ素のSiとリンのPとイオウのSで船の「シップス」、塩素のClを「苦労」と読み、アルゴンのArで「ある」となります。最初から続けると、「水兵が恋人のように僕の船だと思っているが、そうはいっても船には苦労がある」という流れになります。誰が考えたか知りませんが、なかなかよくできた語呂合わせだと思います。難点は18番までの元素は完璧に覚えますが、それ以降はほとんど記憶にないことです。ただ、18番までに主だった元素は含まれていますので、この暗記法でおおむね大丈夫だと思います。

余談が長くなりましたが、水素の説明に戻ります。水素が次世代エネルギー源として期待されている理由はふたつあります。ひとつは、水素を燃料として使ってもCO2が一切出ないことです。水素を燃やすということは、水素(H)と酸素(O)がくっつくわけですから、出るのはH2O、つまり水だけです。

もうひとつは、水素が宇宙にもっとも多く存在する元素だということです。もちろん地球にもたくさんあります。水にも化石燃料にも廃プラスチックや下水汚泥などにも水素が含まれています。つまり、原料が無尽蔵にあり、さまざまなものを原料にして水素をつくることができるということです。

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