アントレで変わる教育

武蔵野大学中高・野澤清秀さん「探究の学びの一つがアントレ教育」

2022.06.30

Main Image

「アントレプレナー(起業家)」という言葉を聞くことが増えてきました。大学では、起業家教育やスタートアップ支援に力を入れる動きが広がっています。一方、高校では自分で課題を見つけ、解決する教育の一環としてアントレプレナーシップ教育が注目されるようになってきました。授業に取り入れ、この教育に取り組んでいる武蔵野大学中学・高校の野澤清秀主事(英語科教諭)に、取り組みの様子や狙いなどを聞きました。(写真は、グループワークを行う生徒たち=同校提供)

野澤清秀さん

話を聞いた人

野澤清秀さん

武蔵野大学中学校・高等学校主事、EX部部長

(のざわ・きよひで) 北海道出身。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)卒業後、人材採用支援のエン・ジャパンに入社。岡山県の私立高校の教員を経て、2018年から武蔵野大学中学・高校に着任。担当は英語。

学びの情熱をつくる一つの手段

――アントレプレナーシップ教育に力を入れていると聞きました。

この2、3年、授業にアントレプレナーシップ教育(以下アントレ教育)を取り入れようとプロジェクトをつくり、進めてきました。

2019年度から20年度にかけてカリキュラム改革を行い、特進系のハイグレード、PBLインターナショナル、本科の三つのコースをつくりました。このうちPBLインターナショナルでは、PBL(課題解決型学習)の方法を用いて、正解のない答えを探し続ける探究的な学びを実践しています。

そのプログラムの一つがアントレ教育です。この分野の教育プログラムを提供しているタクトピア株式会社の支援を受けながら、22年度は高1後期から高3まで週2コマ(2時間連続)の授業を展開しています。

――アントレ教育の授業はどのように進めているのですか。

高1では、どうやって課題を見つけるのか、どうソリューション(解決策)を考えるのかという、アントレの「型」を学びます。高2では、社会実装するアイデアを考え、ビジネスコンテストなどに参加します。高3では、これまで取り組んできたことをもとに、自分には何が身につき、社会に何を還元できるかをまとめます。授業はグループワークを中心に進めます。

最近では、漁師町を活性化するプロジェクトがビジネスコンテストで準優勝に選ばれました。プラスチックごみの問題を解決するために、自販機を活用してペットボトルを再利用するアイデアを提案した生徒もいます。

アントレ教育を通じて、生徒たちは学校内や世の中の課題を他人事にせず、主体的に考えるようになったと感じています。

――アントレ教育の目的は何ですか。

私たちは起業家を育てることを目指しているわけではありません。アントレプレナーとは、身の回りにある課題を見つけて解決に導く人だと、とらえています。その作業の過程で、課題解決のために調べて知識をつける必要が出てきたり、チームの中で意見がぶつかり合い、共同作業する難しさを感じたりします。

PBLのPは通常、Projectを指しますが、私たちはPassionだと考えています。なぜ、その知識が必要なのかという「Why」を知ることが、学びの情熱を作ることにつながると考えています。その手段の一つがアントレ教育だったということです。

――これからの時代に求められるものは何だと思いますか。

今の世の中には、正解がないものがたくさんあります。また、これからは世の中が気づいていない課題に気づく力が必要です。そして気づいた課題にどうアプローチして、どう解決方法を出していけるかがますます必要とされる時代になると思います。

そのためには、何を課題に設定するかが非常に重要です。生徒たちの課題を見つける力、課題に気づく力を伸ばしたいです。

ハイグレードコースでは、今年度から「アカデミックマインド」の育成を新たな教育の柱にしました。世の中の「?(ハテナ)」を見つけ、仮説を立てて検証していきます。その過程で、調べたり、実際に行動したりすることによって、勉強のモチベーションや学ぶ意味を実感することを目指します。

これまでの勉強は答えがあって、そこに向かうものでした。しかし、これからは答えがないものにチャレンジしていくことが求められます。アントレ教育、アカデミックマインド育成講座を通じて養う力は、これからの世の中を生き抜く上で有効に機能していくと思います。

バックナンバー
新着記事
新着一覧
新着一覧

ページトップ