一色清の「このニュースって何?」

G7でロシア産の金がテーマに → 金はどうして値打ちがあるの?

2022.07.01

author
一色 清
Main Image

日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。

金の持つ魅力

ドイツで行われた主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、ロシア産の金を輸入禁止にする方針が話し合われました。首脳声明では「金の取引を含むロシアの収入を減少させる」という方針が打ち出されました。ロシアは中国、オーストラリアに次ぐ世界3位の金の産出国です。世界の産出量の1割を占めていて、その輸出は貴重な外貨獲得手段のひとつになっています。ロシア産の金を市場から締め出すことで、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの圧力を強めるねらいです。

金の値段はロシアのウクライナ侵攻をうけて上がっています。「有事の金」という言葉がありますが、戦争になると人々は「不変の価値」を求めて金を買おうとするからです。世界の市場で値段が上がっているところに日本では円安が加わり、一段と値段が上がっています。貴金属取引大手の田中貴金属工業が公表している金の小売価格は、ロシアの侵攻が始まる2月には1グラム6千円台後半だったのが6月には8千円台後半になりました。金がこんなに人気となっている今、金とはどういうものかを知っておきましょう。

金が持つ魅力や特徴はいくつもあります。まずその「美しさ」です。金色に光り輝いています。金は赤色や黄色の光は反射しますが、青色の光は吸収するので、反射光は赤色と黄色のまざった金色になります。古代エジプトの王の墓であるピラミッドからは金でつくられた装飾品がたくさん出てきます。大昔から金は美しいものとして、人々の心をとらえていたのです。

金がずっしりと重いことも貴重さを感じさせます。金の比重(同じ体積の水との重さの比)は19.3で、金属の中では白金(プラチナ)などに次ぐ重さです。銀の比重は10.4、銅の比重は8.9ですから、オリンピックのメダルがその名の通りの金属ですべてできていたとすると、金メダルは銀メダルの2倍近く、銅メダルの2倍以上の重さになります。

金が地球上にとても少ない金属であることも魅力を大きくしています。「希少性」の魅力です。人類がこれまでに掘り出した金の総量は18.3万トンで、オリンピック公式プール(長さ50メートル、幅25メートル、深さ2メートル)の3.8杯分にすぎません。しかも多くはすでに採掘され、これから採掘される量はわずかだとみられています。少なければ手に入れたいと思うのは、人間の自然な心です。

バックナンバー
新着記事
新着一覧
新着一覧

ページトップ