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「宇宙ゴミ」回収用カメラを開発、持続可能な宇宙開発に貢献 東京理科大学木村真一研究室
2022.07.13

システム全体をコーディネートする力を養う
木村研究室には現在29人の学生が所属している。内訳は学部4年生が9人、修士課程1年生が12人、修士課程2年生が7人、博士後期課程1年生が1人。宇宙カメラの研究開発は学生中心に進められている。木村教授は教育面での効果を次のように指摘する。
「宇宙カメラを開発するには回路、デバイス、構造設計、光学、デバイス間のインターフェース、ソフトウェアといった特定の分野だけでなく、さまざまな分野の専門知識を総動員してカメラのシステム全体をコーディネートする力が必要になります。学生の教育という観点からも非常に有用な分野です」
理論的な研究だけでなく、自分たちが開発したエンドプロダクト(最終製品)が実際に運用される人工衛星に搭載される。納期を守るための開発スケジュールの管理や、各学生の役割分担を決め、チーム全体をまとめるプロジェクトマネジャー的なスキルも必要となる。カメラの開発にあたってはJAXAや民間企業の担当者との綿密な打ち合わせも必要になるが、そうした対外的な活動も学生自身が担う。
「『木村研究室』ではなく、『木村製作所』と言われています」
木村教授はそう笑う。そこには各学生に「ホンモノ(プロフェッショナル)」としての意識をもってもらいたいとの強い思いがある。根底には木村教授の、大学院修了後に就職した郵政省通信総合研究所(現・国立研究開発法人情報通信研究機構)での経験がある。当時、世界初の無人ロボット衛星・技術試験衛星Ⅶ型の開発に参加した。薬学専門の木村教授に対しても、開発メンバーはホンモノとして接してきた。木村教授はホンモノになろうと必死に勉強したという。
「ホンモノにホンモノとして扱われると自然とホンモノになる。これが当研究室のモットーです。学生はいきなり開発の最前線に立ち会うわけですから、かなり乱暴な研究室ですね」
