「夢中」を学びに

1歳半で母と図書館へ 物語が生きていく力くれた 18歳の小説家・鈴木るりかさん

2022.07.11

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岩波 精
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子どものころの「夢中」を持ち続けている人はどんなふうに育ってきたのでしょう。中学2年で作家デビューした鈴木るりかさん(18)に聞きました。1歳半のころに母と図書館に通い始めてから、ずっと物語に夢中だという鈴木さんは、この4月に早稲田大社会科学部に進学しました。大学での学びは小説を書くヒントになるといいます。(写真は、これまでに出版した5冊を手にする鈴木さん)

鈴木るりか

話を聞いた人

鈴木るりかさん

小説家

(すずき・るりか)2003年10月、東京都生まれ。小学4年のとき「12歳の文学賞」で大賞受賞、翌年、翌々年も大賞受賞。今年2月、初めての長編小説「落花流水」を刊行した。

小4で文学賞、中2で作家デビュー

1歳半で図書館に行くようになったのは、母によると「たまたま自宅の隣にあったから」。図書館では子ども向けの「おはなし会」が開かれていたので、その間は子どもを預けることができて母も助かっていたそうです。毎日行っていたので、私にとって図書館は「ある」のが当たり前。文字は図書館の読み聞かせで覚えましたし、本はとても身近な存在でした。

字が読めるようになる前から絵本を見て、絵や写真にあわせて自分で物語を作って楽しんでいたようです。2歳か3歳のころにはザリガニの図鑑に夢中になり、何度も借りました。田んぼに1匹のザリガニがいて、たたずんでいるような雰囲気を醸し出している写真を見ながら、「このザリガニはお母さんとはぐれちゃった子どものザリガニ」というストーリーを作ったのを覚えています。

小学4年のときに、小学館の「12歳の文学賞」に初めて応募しました。副賞の図書カードがほしかったんです。大賞になれば、マンガ雑誌を一生分買えると思って。締め切り直前に数時間で、400字詰めの原稿用紙11枚の作品を書き上げました。

このときに書いたのが、花ちゃんのお話です。お母さんと2人、アパートで暮らしていて、大家さんや住人、近所の人や学校の同級生との間で起きるできごとや触れ合いを通し、成長していきます。優しくて、人の気持ちが分かる花ちゃんは、私の理想。いまもシリーズで書き続けています。

中学は受験をして中高一貫校に進みました。小学5年の終わりごろには出版の話が出ていたので、高校受験がないほうが小説の執筆に集中できるかなと思ったんです。両親はこの決断を後押ししてくれました。本が好きだったおかげで、国語の成績は良いほうでした。ほかの教科でも読解力はとても大事で、それが自然と身についていたのは良かったですね。勉強に限らず、友達との会話やラインのやりとりでも、思いを伝えるための語彙(ごい)が多いほど、コミュニケーションがやりやすくなると感じています。生きていく上で必要な力も本がくれました。

高校3年だった昨年は、大学の受験勉強をしながら初めての長編小説「落花流水」を書き上げました。そのときも両親は「やりたいことをやったらいいよ」と言うだけ。「受験生なんだから勉強しなさい」とは一度も言いませんでした。ずっと私のやりたいことを尊重してくれていて、本当にありがたいと思っています。

1歳半で母と図書館へ 物語が生きていく力くれた 18歳の小説家・鈴木るりかさん
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