「夢中」を学びに

子どもが夢中になれないとき 誘って、対話して、「やりたい」を引き出す 神戸大准教授・赤木和重さん

2022.07.15

author
岩波 精
Main Image

子どもが「夢中」をなかなか見つけられないとき、大人はどう関わればいいのでしょうか。学校や遊び場で多くの子どもを見てきた教育学者で、神戸大大学院人間発達環境学研究科の赤木和重准教授に聞きました。

赤木和重

話を聞いた人

赤木和重さん

神戸大大学院人間発達環境学研究科准教授

(あかぎ・かずしげ 1975年生まれ、京都大教育学部卒、滋賀大大学院教育学研究科、神戸大大学院総合人間科学研究科博士課程修了、博士(学術)、2010年10月から現職。著書に「子育てのノロイをほぐしましょう:発達障害の子どもに学ぶ」(日本評論社)、「アメリカの教室に入ってみた:貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで」(ひとなる書房)。)

大人の基準で「夢中」の線引きをしない

子どもが夢中になる姿って、いいものですよね。それによって賢くなるとか、何かが発達するとか、そういうことはどうでもよくなります。親にとってのしあわせの一つのかたちだと思います。

でも、なかなか夢中になれない子もいます。理由のひとつとして考えられるのは、教育や子育ての影響です。夢中になるというのは、子どもが自分の欲望や要求を優先させること。大人の指示を的確に守るのが「いい子」とされてしまうと、そちらが先に立ってしまい、夢中が置き去りになってしまいます。特に「教師の指示に従うのがよい」という学校文化で育ってきた子は、すぐに「やりたい」ことを見つけられない傾向が見受けられます。

もうひとつはタイミングの問題。子どもは気持ちに波があります。遊びをしていても、いまひとつハマりきらないという時もある。子どもに何か問題があるということではなく、単純に今は夢中になれない時期、というだけです。

大切なのは、「夢中」の基準を大人が設定しないことです。子どもって、本当にどうでもいいことに夢中になりますよね。大人は勉強とか将来に役立つことに夢中になってほしいので、あまり役立ちそうにないと感じたら、「やめときなさい」と止めてしまう。でも、それは大人のエゴです。大人が「これはいいけれど、あれはダメ」と線引きをしないことが、子どもが夢中の世界に入っていく上で重要なことだと思います。

たとえば、子どもが読書に夢中になっていたとします。それを見た大人には、「これで学力が上がるかな」という下心が芽生えますよね。けれど、それは夢中になることのオマケにすぎない。そこが逆転してしまったら、子どもは夢中になれません。自分のなかの下心は認めつつ、心のなかにしまっておくのが大人のふるまいというものです。

子どもが夢中になれないとき 誘って、対話して、「やりたい」を引き出す 神戸大准教授・赤木和重さん
バックナンバー
新着記事
新着一覧
新着一覧

ページトップ