キャンパスリポート

「東大を変えたい」「世界一の学び場に」 東大生がつくった団体「UT-BASE」は何を目指すのか

2022.07.06

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中村 正史
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「東大を世界一の学び場にしよう」「学生の立場から東大を変えたい」。こんな思いを持った東大生たちが学生団体「UT-BASE」をつくり、情報発信やイベント開催といった活動を広げている。目指しているものは何なのか。共同代表の保田優太さんと岡本琳南(りんな)さんに聞いた。(写真は、UT-BASE共同代表の保田優太さん〈右〉と岡本琳南さん)

学生に情報が届いていない

UT-BASEが掲げる目標は、「東大を世界一の学び場にする」。共同代表の一人で法学部3年の岡本琳南さん(20)は、こう話す。

「東大生の挑戦・熱中・学びの機会を最大化するのが私たちのミッションです。具体的な活動は二つあり、一つはサークルやゼミ、学部学科などに関する情報をUT-BASEの情報サイトで提供すること。もう一つは自主ゼミなどの学びの場をつくることです。メンバーがそれぞれ課題を提案し、様々なプロジェクトを行っています」

メンバーは現在、29人。2年生と3年生が多い。

活動が始まったのは、2020年3月。当時の経済学部2年生が「学生に必要な情報が届いておらず、学生間の情報格差が大きい」と動き出したのが発端だった。現在、共同代表を務める岡本さんと、農学部3年の保田優太さん(21)は、2代目の代表になる。保田さんは入学して間もない20年6月に、岡本さんはその5カ月後に活動に加わった。

活動の一つ目の情報提供では、サークル・学生団体、ゼミ、学部学科、学内外の様々なプログラムなどを紹介している。学部学科の情報は、東大の全113学科で学ぶ学生にメンバーがインタビューして生の声を載せている。

UT-BASEの情報サイトには様々な情報が載っている
UT-BASEの情報サイトには様々な情報が載っている

東大生の関心が高いのは、3年からの進学先(学部)を決める進学選択(通称・進振り)。このスケジュールや前年の定員数のほか、学生へのインタビューを通じて、その学部学科に入る前に想像していたことと実際との違いなど、リアルな情報を提供している。オンラインで進振りの相談にも乗っている。

東大には、様々な教育プログラムがある。起業家を育成するアントレプレナーシップ教育もその一つ。UT-BASEは、22年度から始まった、1年生対象のソニーの社会連携講座「UT-ONE」の運営に加わり、1年生のメンターになって情報提供やアドバイスをしている。

「UT-ONE」は、高校までの学びから大学での学びに転換するために、様々なプロジェクトに参加して「問い」を発見する喜びを味わい、自分なりのテーマに深めていく。東大のアントレプレナーシップ教育やスタートアップ支援を担ってきた各務茂夫・大学院工学系研究科教授は「学生の中でアントレプレナーシップ教育プログラムをやってみようとしている」と話す。

東大には海外からの留学生も多い。昨年10月からは、英語によるコンテンツ提供も始めた。留学生が参加できるプログラムや、図書館の利用法などのほか、「Komaba Slang(駒場スラング)」として、1、2年生が学ぶ駒場キャンパスで使われる「新歓」(新入生歓迎)、「オリ合宿」(オリエンテーション合宿)といった用語を解説している。

高校生向けの情報提供も昨年8月から始め、東大生へのインタビューなどを掲載している。福井県出身のメンバーからの提案だ。

「東大に入ると、どんなことができるのか、どんな生活になるのかといったリアリティーのある情報がこれまで充実していませんでした。休学して地域 に行って街づくりに関わったり、起業したりしている学生もいます。東大は堅いイメージがありますが、やりたいことができる場であることを伝えていきたいのです」(保田さん)

情報提供の手段としてイベントも開いている。6月には、地域おこしに関わっている3、4年生4人を集めて、新入生向けに座談会を行った。昨年8月には、AI研究の第一人者で研究室からスタートアップが続々と輩出している松尾豊・大学院工学系研究科教授の講演会を開いた。

「自分が楽しいと思える場所を自分で選んでほしい。UT-BASEは、何かをやってみるきっかけを提供している団体です」と保田さんは話す。

このような学生への情報発信や働きかけは、これまでなかったのだろうか。
「東大は組織が大きいので、学生への情報提供も学部ごとの縦割りが強い面があり、これまで学部横断型の横串を刺した情報を提供するプラットフォームはありませんでした」(保田さん)

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