「夢中」を学びに

ピアニスト角野隼斗さんの母・美智子さん 子どもの目が輝くことは何だろう 観察続けて「夢中」を見つける

2022.07.13

author
岩波 精
Main Image

子どもの「夢中」を引き出し、伸ばすために、親はどう関わればいいのでしょうか。東大卒のピアニストで、「かてぃん」としてユーチューブでも活躍する角野隼斗(すみのはやと)さん(26)の母、美智子さんに聞きました。美智子さんはピアノ指導者として教室を主宰し、音楽コンクールの受賞者を数多く育てています。(写真は、角野美智子さんと隼斗さん(右)、未来さん(左)=角野さん提供)

角野美智子

話を聞いた人

角野美智子さん

(すみの・みちこ)桐朋学園大ピアノ科を経て米ニューイングランド音楽院に留学。現在は千葉県八千代市でピアノ教室を主宰。一般社団法人「全日本ピアノ指導者協会」(ピティナ)のピティナ指導者賞を20回受賞し、各種コンクールで審査員も務めている。著書に「『好き』が『才能』を飛躍させる 子どもの伸ばし方」(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)がある。長男でピアニストの隼斗さんは開成中学・高校、東京大理科一類・工学部を経て、2020年3月に東京大大学院修士課程を修了。昨年はショパン国際ピアノコンクールでセミファイナルに進出し、大みそかのNHK紅白歌合戦では上白石萌音の伴奏を務めた。長女の未来さんは東京藝術大大学院修士課程ピアノ専攻在学中で、やはりピアニストとして活躍。

遊びと勉強の境目つくらず、親も楽しむ

子どもの夢中を見つけることは、目が輝くことは何だろうという観察から始まると思います。隼斗は赤ちゃんのころから数字が好きでした。最初に気づいたのは1歳のころ、壁にかけたカレンダーを食い入るように見つめていたときです。1歳半になると、よりはっきりしてきました。散歩の途中に通る駐車場では、区画ごとに書かれた駐車番号の数字を指でなぞって、1周するまで終わらない。車そのものではなくて、ひとつひとつの数字の形の違いに強い関心があるんだなと分かりました。

2歳のころにはチラシの裏に数字を書き連ねることが、隼斗にとって楽しい遊びになっていました。幼稚園に上がる前には時計が読めるようになり、簡単な計算もできるように。試しに計算ドリルを渡してみると、あっという間に解いてしまいました。四則計算も遊びのひとつだったようです。計算ドリルは大人にとって「勉強」そのものですが、子どもにとっては楽しい遊びにもなるのだと気づきました。

ピアノは1歳半ごろから始めました。隼斗の三つ下の妹、未来(みらい)もピアニストになりましたが、私は2人を自分と同じ道に進ませたいとは全く思っていませんでした。それより、いろいろなことを経験して、好きなもの、夢中になれるものを見つけて、それぞれに能力を発揮してほしいと思っていました。ただ、小さいころから身近にピアノがあったので、おもちゃで遊ぶように音楽遊びをしているうちに弾けるようになり、ドレミで歌えるようになり、耳コピで弾けるようになって、音楽がどんどん言葉のように入っていきました。

数学もピアノも、心がけたのは遊びと勉強の境目を作らずに、学びが楽しい、新しいことを知るのが面白いという意識を育てることです。そして、親も一緒に楽しむ。その結果、数学とピアノはどちらも隼斗を形作る大きな要素になりました。

バックナンバー
新着記事
新着一覧
新着一覧

ページトップ