スクールリポート

男子も女子も生理について学ぼう! 生徒が呼びかけ、湘南学園中高のプロジェクト活動

2022.07.28

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市川 理香
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湘南学園中学高校(神奈川県藤沢市)は、生徒が自主的に行動するプロジェクト活動がとても盛んな学校です。「ジェンダーを考えるプロジェクト(Over the rainbow project)」もその一つ。リーダーで現高校2年の石崎栞理(しおり)さんが「みんなとともにジェンダーについて考え、誰もが生きやすい未来をつくりたい」と、今年3月の国際女性デーに学年集会でメンバー募集を呼びかけました。現在は26人が活動し、6月には生理の学習会を開きました。学校トイレへの生理用品の設置に向けて動いています。(写真は、生理についての学習会の様子=2022年6月、神奈川県藤沢市)

生徒が自ら動くことが当たり前にできる環境

リーダーの石崎栞理さんには、高校生のうちに実現したい具体的な目標がありました。それは「学校のお手洗いに自由に使用できるよう、生理用品を設置する」こと。実現に向け、6月10日の放課後を使い、生理の学習会「いま考えたい生理とカラダのこと 〜生理は天然色〜 生理を知ろう!」を開催しました。

生徒を前に話す、Be-A Japanの代表取締役CEO高橋くみさんと、CPO(最高商品開発責任者)の中村千春さん=2022年6月
生徒を前に話す、Be-A Japanの代表取締役CEO高橋くみさんと、CPO(最高商品開発責任者)の中村千春さん=2022年6月

参加したのは「ジェンダーを考えるプロジェクト(Over the rainbow project)」メンバーを含む、高校2年生38人(男子25人、女子13人)。講師として、超吸収型サニタリーショーツの開発・販売をしている株式会社Be-A Japan(以下Be-A Japan)の代表取締役CEO高橋くみさんとCPO(最高商品開発責任者)の中村千春さんが登壇しました。講師の選定にあたっては、商品の機能性や、クラウドファンディングで支援金を集めたBe-A Japanの考え方に共感した学年担当・奈良亜紀子先生の助言はあったそうですが、先生のお手伝いはここまで。実際の交渉や、学年に「生理についての意識調査」を呼びかけ、学習会の打ち合わせを重ねていったのは、生徒たち自身でした。

学習会の様子は、テレビでも紹介され、YouTubeにもアップされました。その反響の大きさは、学校、Be-A Japan、そして生徒自身の予想をはるかに超えるもので、「うちの学校でもやってほしい」「自分が中高生の頃に、知りたかった」といったコメントが寄せられています。

知ってほしい女子、知りたい男子

「生理についての意識調査」は、学習会に先立って、高校2年生を対象に実施されました。

男女共通の質問「どうして生理が来るか知っていますか?」に「はい」と答えたのは、女子95.1%、男子76.6%とそれなりに知っていそうな気配。「生理を詳しく知ることで人間関係や社会活動に良い影響があると思いますか?」に「はい」と答えたのは、女子95.1%、男子84.0%と、意識の高さをうかがわせます。

一方、「学校での性教育(体の仕組みや生理について)は十分でしたか?」に「はい」と答えた女子は70.5%、男子は62.8%という結果でした。女子へ聞いた「異性の友人と生理について話したことはありますか?」には41.0%が「はい」と回答。「男子にも生理について知ってほしいと思いますか?」との質問には86.9%が「はい」と答え、知ってほしいという女子側の気持ちがうかがえました。

しかしながら、男子に聞いた「1回の生理が何日間くらい続くか知っていますか?」との質問に「はい」と答えたのは47.9%。「生理用品を買うのに、1カ月平均していくらかかるか知っていますか?」の質問に「はい」と答えたのは5.3%でした。知りたい気持ちはあれども、なかなか知識が追いついていない男子の現状が垣間見えます。

プロジェクトの目標でもある、学校に自由に使える生理用品を置くことについては、女子の95.1%が賛成を示し、その理由には「突然、生理が来た時助かるから」「友達にもらうのも申し訳ないから学校においたほうがいい」「自動販売機でもいい」などの回答が見られました。一方、男子は「学校に自由に使用できる生理用品を設置することに関して、現時点での意見を教えてください」との質問に対し、賛成59.6%、反対5.3%、よくわからない35.1%で、意識の違いが鮮明に出ました。

この結果を踏まえて、学習会では、生理の基本的な知識はもちろん、さまざまな視点から「生理」にスポットが当てられました。

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