アントレで変わる教育

企業・自治体のリアルな課題に解決策を提案する 神奈川県立元石川高校の学校設定科目「アントレプレナーシップ」

2022.08.12

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笹原 風花
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2017年度に学校設定科目として「アントレプレナーシップ」を開講し、今年度で6年目を迎えた神奈川県立元石川高校。東急電鉄や横浜市をはじめとした企業や自治体から提示されたリアルな課題について、生徒たちはアイデアを出し合い、解決策を提案してきました。「アントレプレナーシップ」を通した学びについて、勝股正校長と、同科目を担当する石見飛鳥教諭、稲垣静子教諭、原武海教諭、中島透雄教諭の4人の先生に話を聞きました。(写真は、企業の担当者らの前で最終プレゼンテーションをする生徒たち=神奈川県立元石川高校提供)

これからの社会をたくましく生きる力を身につける

――「アントレプレナーシップ」を学校設定科目にされた背景をお聞かせください。

勝股:本校はいわゆる中堅校で、真面目な半面、主体性や積極性に欠ける生徒が少なくないという課題がありました。生徒たちにこれからの社会を、心豊かに、たくましく生きる力を身につけてほしいという思いから開講したのが、「アントレプレナーシップ」、通称「アントレ」です。

2年生の必修選択科目で、多い年には百人を超える生徒が受講します。実際に企業や自治体が抱える課題の解決に取り組む課題解決型の授業で、教員が企業や自治体、大学、NPOなどと連携しながら授業を作ってきました。

左から、「アントレプレナーシップ」を担当する稲垣教諭、原教諭、石見教諭、中島教諭、勝股校長=2022年7月、横浜市青葉区
左から、「アントレプレナーシップ」を担当する稲垣教諭、原教諭、石見教諭、中島教諭、勝股校長=2022年7月、横浜市青葉区

――「アントレプレナーシップ」を通して身につける「これからの社会を心豊かにたくましく生きる」ために必要な力とは、どのようなことでしょうか?

勝股:課題発見・解決力、自ら学び、考え、主体的に判断する態度、創造力、コミュニケーションやプレゼンテーションの能力などを意図していますが、なかでも重視しているのが「権限によらないリーダーシップ」です。

これは、「メンバーそれぞれがもつ能力をいかして主体的にチームに貢献することで、創発的なチームになる」というリーダーシップのあり方のこと。例えば話し合いの場では、積極的に発言する人だけでなく、聞き役もメモをとる役も自分はリーダーであるという自覚をもち、行動することが大事だと伝えています。

原:もう一つアントレで大事にしているのが、「とらわれない」ということです。正解は一つではないので、一つの見方、考え方、捉え方にとらわれないことが大事。柔軟な発想が新しいものを生み出すんだということを生徒に伝えつつ、私たち教員自身も「とらわれない」をモットーにしています。常識や従来の価値観にとらわれていると、高校生らしいアイデアをつぶしてしまうことになりかねませんから。

――具体的に、どのようなかたちで外部の組織と連携しているのでしょうか?

石見:まず、アントレはご協力いただいている企業や自治体の皆さんのおかげで成り立っている授業です。それらの企業や自治体の担当者の方とは、授業指導案づくりの段階から密に連絡を取り合い、取り組むテーマなどについて相談しています。授業にも頻繁に参加してもらい、抱えている課題やその背景について解説してもらったり、各学期のプレゼンテーションを評価してもらったりしています。

また、例年、立教大学経営学部の学生にはビジネスリーダーシッププログラムを、NPO法人SoELa(川崎市)には課題解決の手法についての講義を実施してもらい、リーダーシップのあり方や問題解決やマーケティングの手法、アイデアの出し方・まとめ方、アンケート・インタビューの手法、プレゼンテーションのコツなどについて話してもらっています。

今年度の2・3学期は「エシカル」がテーマなので、1学期の最後に、マーケティングや経営戦略が専門の相模女子大学の金森剛教授に、「ビジネスで社会貢献をするエシカル企業、社会的企業」と題した講義をしていただきました。

相模女子大学専門職大学院社会起業研究科の金森剛・研究科長による講義の様子
相模女子大学専門職大学院社会起業研究科の金森剛・研究科長による講義の様子
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