一色清の「このニュースって何?」

東京工業大と東京医科歯科大が統合協議 → 大学が置かれている状況を知ろう

2022.09.02

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一色 清
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経営の効率化による統合も

一方で、人口減少に伴う学生数の減少に備えて経営の効率化を進めようとする統合もあります。国立大学同士の運営法人の統合としては、20年4月に名古屋大と岐阜大が統合して「東海国立大学機構」が、22年4月には小樽商科大・帯広畜産大・北見工業大が統合して「北海道国立大学機構」が、奈良女子大と奈良教育大が統合して「奈良国立大学機構」が設立されました。こうした統合は、少子化が進む中で地方の国立大学の経営基盤を強くすることが主目的でした。

また、22年4月に開学した大阪公立大の主目的も経営の効率化でした。大阪公立大は、大阪府立大と大阪市立大が統合した大学です。大阪ではかつて府と市が同じようなことをしているという「二重行政」が問題になり、府立大と市立大も統合の流れになりました。大阪公立大は3年後には学生数約1万6千人となり、国公立大学としては大阪大、東京大に次いで全国3位のマンモス大学となる予定です。

東京都立の大学は大阪より一足早く統合しています。05年に東京都立大、都立科学技術大、都立保健科学大、都立短期大が統合して首都大学東京となりました。ただ、大学名がなかなか浸透せず、20年4月から大学名をわかりやすい東京都立大に戻しました。

大学が経営の効率化を進めないといけないのは、日本には大学がたくさんあるためです。21年現在で803もの大学があります。この数はここ50年ほどでだいたい倍になりました。これだけたくさんの大学がある一方、少子化は進み、高校生の数は少しずつ減っています。かつては大学進学率が伸びることで大学進学者が増えていましたが、大学進学率も50%台後半で頭打ちになりつつあります。大学の定員は増えたのに、進学者は増えないため、4割以上の大学で学生数が定員に満たない「定員割れ」になっています。

今のところ、経営破綻(はたん)する大学はあまりありませんが、最近の出生数の激しい減少スピードを考えると、大学が少子化の影響を本格的に受けるのはこれからといえます。在校生を抱えながら経営破綻することは避けなければならず、大学の統合は今後さらにスピードアップすることが予想されます。

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