学習と健康・成長

子どもたちの行動に影響する「バイアス」 親子での向き合い方は 合理的ではない選択もときには大切

2022.09.22

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波多野友子
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多様な選択肢が広がる現代において、いかに自分の意志を持って人生を選択するかが重要になっています。しかし、人はときに「思考のバイアス」により不合理な選択をしてしまうもの。『こども行動経済学』監修者の犬飼佳吾さんは、行動経済学を知ることで思考のバイアスに気づき、より自分らしい選択ができると話します。今回は犬飼さんに行動経済学を子どもに伝え、親子で学んでいく方法について伺います。

Keigo_Inukai

話を聞いた人

犬飼佳吾さん

明治学院大学経済学部准教授

(いぬかい・けいご)1981年、長野県松本市生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員PD、エコール・ポリテクニーク(仏)研究員、大阪大学社会経済研究所講師を経て、現在、明治学院大学経済学部准教授。専門は行動経済学、実験経済学、ニューロエコノミクス。大阪大学賞、第3回ヤフー株式会社コマースカンパニー金融統括本部優秀論文賞受賞(行動経済学会)。実験社会科学の手法を用いて人の社会性の起源に迫る研究を行なっている。

子どもに主体的な選択をさせるために、行動経済学の知識が助けになる

――そもそも、行動経済学とはどんな学問なのでしょうか。

端的に言うと、一般的によく知られている経済学は、「人は常に合理的に判断して行動する」ことを前提に、人々の経済的な意思決定を研究していく学問です。一方、行動経済学とは、「人は必ずしも合理的な行動をするわけではない」ことを前提に、さまざまな調査や実験を通じて、人の意思決定のあり方を研究する学問です。

多くの人は、経済学が想定するように賢く完璧には行動することできません。そこで、人間の心理や行動を観察することで、「なぜ人は合理的でない意思決定をしてしまうのか」を明らかにしていこうとする学問が行動経済学だとも言えます。

こども行動経済学_1
行動経済学は比較的新しい学問分野として、近年注目を浴びている

――行動経済学を知っておくことで、どんなメリットが得られますか?

人間にはどうしても自信過剰なところがあって、まさか自分が非合理的に振る舞うはずがないと思い込んでいる節があります。「大人なのだから、自分の意思決定は完璧である」と考える人が実はとても多いのです。行動経済学を知っておくことで、自分もときに選択を間違えることがあると理解することによって、意思決定の前にある程度対処法を身につけることができると考えられます。

――今回「こども行動経済学」を出版されましたが、なぜいま子どもにも行動経済学を知る必要があると考えられたのでしょうか。

最近の教育では、「子どもに主体性を持たせよう」という方向性が多々見られます。つまり人生におけるそれなりに大きな決断を、子どもの意思に任せようという風潮が出てきているのです。そんな中で、子どもたちに「自分がした決定は、一体どんな意味を持つのだろう?」という客観的視点を持ってもらうために、行動経済学を知ってもらうことが効果的だと考えました。

現代は、大人も子どももインターネットを通して溢れるように情報を浴びて生活しています。その中で、本当に意義のあるものを見出し、みずから意思決定を行っていかなくてはならない。何の指針もなければ情報の波に飲まれてパンクし兼ねない状況の中で、行動経済学は私たちが芯を持って行動するためのひとつのきっかけとなるはずだと思います。

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