学習と健康・成長

18歳成人、親子でできる心構えは 「責任を持つ」意識を育てよう

2022.09.21

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阿部 花恵
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2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられました。18歳を境に「大人」になる子どもたちは、どんな心構えをしておくべきでしょうか。そして、保護者の立場からは我が子に対して、何ができるのでしょうか? 中高一貫校の社会科教師を務めながら、弁護士、スクールロイヤーとしても活躍する神内聡さんにお聞きしました(この記事の「成人」は法律上の「成年者」のこと指します)。

Akira_Jinnai

話を聞いた人

神内 聡さん

弁護士、兵庫教育大学大学院准教授

(じんない・あきら)東京大学法学部政治コース卒業。同大大学院教育学研究科修了。中高一貫校で社会科教師を務めながら、各地の学校のスクールロイヤーとして活動している。著書に「大人になるってどういうこと?」(くもん出版)など。

「高校生」と「成人」が重なる18歳

――2022年4月から民法で定められていた成年年齢が18歳になりました。18歳成人によって、当事者である子どもたちにはどんな変化が起きるのでしょうか。

まず、成人となればどんな契約も自分一人で結べるようになるため、できることの幅が広がります。仕事や居住の選択の幅もそうですし、クレジットカードの契約や費用が大きな買い物、親には知らせずに婚姻届を提出することもできるようになります。「大人」になったことで、親は自動的に「保護者」ではなくなるからです。

私はスクールロイヤーとしてさまざまな学校で発生する問題に弁護士として対応していますが、18歳成人によって多くの学校側が最も警戒しているのは、実はこの結婚問題です。

もし、18歳の高校生が「結婚する」と言い出したら、どんなに保護者や学校が反対しても、結婚自体を取り消すことは法律では原則無理です。生徒指導の一環として「考え直したほうがいい」とは言えても、止める権限はありません。

極端な例ですが、ある女子高生が18歳になり、反社会的組織の一員である男性と結婚したとしましょう。その場合、配偶者としてその男性は学校へ頻繁に来ることになるのですが、そのことによってもたらされるリスクに学校側が対応することは困難です(学則で反社条項を設けて対応することはできるかもしれませんが)。「18歳は成人である以上、誰とも結婚できる自由がある」という法律の趣旨と矛盾してしまうからです。

18歳成人_1

また、18歳であれば保護者には内緒で怪しげなアルバイトを始めることもできます。バイトにのめり込んで勉強がどれだけおろそかになっても、保護者がやめなさいと反対しても、当人が「いや、このバイトを続けたい」と主張すれば働き続けられるし、保護者が雇用主との労働契約を取り消すことはできません。

――経済的には保護者の庇護下にいても、成人だから自由と自己決定権を持てるようになる。こうなると親子関係も変わってきそうですね。

そこは各家庭によってバランスが難しいところかもしれません。保護者は「そんなバイトを続けるのなら独立しなさい。もうお金は払いません」と条件を示すことはできても、子どもとしてはいきなり切り捨てられたら困ってしまいますよね。実際、今の日本社会は18歳で自立できる仕組みにまだ十分になっていないからです。

ただ、大人になれるタイミングが前倒しにされたことが、メリットとして働いているケースもあります。未成年者は賃貸契約など生活のさまざまな契約を結ぶ際には、親権者の同意が必要です。つまり保護者から虐待されている子であっても、20歳までは独立することがこれまでは難しかった。それが少しでも早く抜け出せる可能性が開けたのです。

――なるほど。さまざまな視点があるのですね。では近い将来18歳になる子どもたちは、どんなことを意識しておけばよいでしょうか。

自分の頭で考えて、自分で決める。この練習は小中学生のうちから意識しておくといいと思います。そのためには、世の中で起きているいろんな出来事に対して、「自分はどう思うのか」と意識的に考えることが大事です。自分はこう感じた、自分はこうする、という思考のクセを身につけるのです。

例えば、友達の言葉に流されやすい子は、「みんながアルバイトを始めたから私もやってみよう」となりがちです。その延長線上で、「私はまだ未成年だけど、あなたは18歳。だから、この同意書に代わりに名前を書いてくれない?」と友達から頼まれたことを安易に引き受け、名義貸しをしてトラブルを引き起こしてしまうこともあるでしょう。

日本の教育には良い点もたくさんありますが、「責任を持つ」という意識を育む視点はやや欠けているように思います。18歳で成人になること、署名をすること、ハンコを押すこと、契約をすること。それがどれほどの責任を伴う行為なのかは、10代の早いうちから知っておいてよいのではないでしょうか。

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