2023大学入試の動向
河合塾・近藤治氏「難関大かつ資格志向が強い、社会科学系の人気復活」
2022.09.09

理系学生を増やす動きに注目している
共通テストは、早稲田大政治経済学部が21年度入試から必須にしたほか、23年度入試から教育学部が共通テストを課す一般選抜方式を導入します。センター試験を使っていなかった上智大も21年度入試から使い始めました。共通テストで多科目を課す入試方法も広がり、関西学院大が22年度入試から、青山学院大は23年度入試から導入します。国公立大との併願が多い私立大にとっては使い勝手のいいテストですが、私立専願の受験生が多い大学は使いづらくなっています。
もう一つ、注目しているのは、政府の教育未来創造会議の提言(5月)を受けて、理系学生を5割程度に増やそうという動きです。
大学でも理工系学部を新設する動きが目立っています。共立女子大が23年度に建築・デザイン学部、明治学院大が24年度に情報数理学部をつくるなど、文系中心だった大学が理系学部を新設する動きが盛んになっています。また国立大でも、奈良女子大が22年度に工学部を設置したのに続いて、お茶ノ水女子大が24年度に共創工学部を開設します。理系の女子学生を増やそうとする取り組みも盛んで、名古屋大工学部が学校推薦型選抜で女子枠を設けたり、芝浦工業大が入学金相当額を奨学金として支給したりするなど、広がっています。日本全体で理系学生を増やそうという動きは、大学入試動向にも影響してくるかもしれません。