新しい教育のカタチを考える
学費は無料!「テクノロジー×デザイン×起業家精神」神山まるごと高専が来春開校
2022.09.14

徳島県の小さな町に来春、全く新しい学校が誕生する。テクノロジーとデザインを学びながら、起業家精神も育む「神山まるごと高専」。学費は企業からの出資金の運用益でまかない、学生の負担は無料とする方針だ。(画像は平屋建て校舎の完成予想図=同校提供)
活躍中の起業家と毎週交流
「高専として19年ぶりの認可ということもあるし、他に学校法人があって高専を作るのではなく、学校法人の設立と私立高専自体の設立を同時に行うという類を見ないことだった」。2019年の構想発表から3年。今年9月6日に徳島県神山町の神山町役場で開かれた開校決定報告の記者会見で、寺田親弘理事長は新しい高専について晴れやかな表情で語った。
寺田理事長はクラウド名刺管理サービス会社「Sansan」の創業社長。「起業家として活動する中で使う知識に、学校で習ったものはほぼない。教育の内側でもっとやれることがあるのではないかという気持ちがあった」と振り返る。起業家にとって大切なのは「起業家精神」といった精神的なものだけでなく、実際に「ものを作る力」だという。「高専なら集中的なカリキュラム設計ができ、フリースクールとは違って大学への編入もできる。これまでにない学校になる」

同校のコンセプトは「テクノロジー×デザインで人間の未来を変える学校」。ソフトウェアやAIなどのテクノロジー、外観やアートなどのデザインに加え、会社を作るための知識や仲間とのチームワークを学ぶための科目も設定する。起業家講師としてDeNAの南場智子会長、星野リゾートの星野佳路代表ら50人以上が名を連ね、毎週水曜夜に交流する機会を設けるという。寺田理事長は「活躍している起業家も実は普通の人だということを、体感してもらいたい」とねらいを語る。卒業後は3割が就職、3割が大学編入、4割が起業を目指せるようにする。
1学年40人の5年制。建築中の校舎は平屋建てで、同町の木材を使用。全寮制で、町が提供した古い中学校の校舎を改装して寮とする。異学年の6人でユニットを作り、共同生活のルールも自分たちで作ることで問題解決力を養う。給食も地元産の食材が中心になるという。