復活!体験学習のチカラ
学校行事の中止・縮小が子どもの非認知能力にマイナスの影響 中長期的な影響も懸念
2022.10.11

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、子どもの体験活動が減っています。学校行事は中止が相次ぎ、家庭でも旅行や出かける機会が減りました。どのような影響が出ているのか、専門家に聞きました。
体験活動が軒並み減少
東京大社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の2021年の「子どもの生活と学びに関する親子調査」では、「家族で旅行をする」「美術館や博物館に行く」「地域の行事に参加する」といった体験が19年より軒並み減少していた(表❶)。ベネッセ教育総合研究所の松本留奈研究員は「遠方への外出や人が集まる場所での体験の減少幅が大きかった」と指摘する。

表にはないが、「小さい子やお年寄りの世話をする」「ボランティア活動に参加する」など人と触れ合う機会も減少傾向で、松本さんは「コロナで体験が減ったことの影響は、長期的にみていく必要がある」と話す。
日本財団と三菱UFJリサーチ&コンサルティングが21年に実施した「コロナ禍が教育格差にもたらす影響調査」では、20年度の学校行事の縮小・中止は子どもの非認知能力や生活習慣などに影響を与えていた(表❷)。非認知能力とは、目標の達成に向けた感情のコントロールなど、学力とは違う「生きる力」のことだ。

小学生へのマイナスの影響が大きく、「運動会・体育祭・球技大会」が非認知能力など、「修学旅行・移動教室」が学校生活などに強く影響していた。中高生への影響は全般的に小学生より小さかったが、「学芸会・文化祭」や「修学旅行・移動教室」の中止はマイナスの影響が出ていた。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林庸平・主任研究員は「年齢が小さいほど、学校行事が非認知能力や生活習慣などを養う場になっており、縮小・中止されたときのマイナスが大きかったのでは」とみる。