復活!体験学習のチカラ

学校行事の中止・縮小が子どもの非認知能力にマイナスの影響 中長期的な影響も懸念

2022.10.11

author
葉山 梢
Main Image

地域や民間も一体となって取り組みを

国が2万人以上の子どもを0歳から18歳まで追跡調査した「21世紀出生児縦断調査」では、小学生のときの体験活動(自然体験、社会体験、文化的体験)の量が、高校生になったときの自尊感情に影響していた。また、同志社大の奥平寛子准教授らが東日本大震災後に実施した研究では、親は塾への支出といった子どもの認知能力(学力)に対する投資を増加させたが、音楽やスポーツなどの非認知能力を養うような投資は少ないままだった。

こうした調査を踏まえ、小林さんは、体験活動の回復を学校や家庭だけに任せるのではなく、行政も側面支援を検討すべきだと言う。「豊かな体験の減少は中長期に影響する。行政がバウチャー(引換券)を交付するなどして、家庭の経済状況によらず、特に低年齢の子が様々な体験活動に参加できる支援策を検討してもいいのではないでしょうか」

前出の松本さんも、「家庭だけに任せると格差が広がったり、学校任せだと多忙な教育現場の負担がますます増えたりする恐れがある」と懸念。「学校だけ、家庭だけでなく、地域や民間とも一体となって考え、取り組むことが重要ではないか」と指摘する。

バックナンバー
新着記事
新着一覧
新着一覧

ページトップ