復活!体験学習のチカラ

コロナ禍でニーズ拡大! 農体験イベント「農いく!」 東京の畑で、親子で収穫を楽しむ

2022.10.20

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笹原 風花
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コロナ禍の中、都会に暮らす親子と東京の農家をつなぐ農体験イベント「農いく!」が参加者を増やしています。企画・運営する農業活性化ベンチャー「エマリコくにたち」の圓山めぐみさんに、活動について聞きました。(写真は、畑で立派な大根を収穫する男の子=写真はすべてエマリコくにたち提供)

圓山めぐみ

話を聞いた人

圓山めぐみさん

株式会社エマリコくにたち体験事業部部長

まるやま・めぐみ/ブライダル業界を経て、2012年にエマリコくにたちに入社。第二子の育休期間中に独学で保育士免許を取得。育休から復帰後、親子向け農体験事業「農いく!」の立ち上げに携わる。

農家の畑で、野菜の収穫を体験

9月25日、東京都日野市のさつまいも畑に、都内・近隣県内から27組の親子が集まりました。子どもの腕ほどもあるさつまいもを掘り出し「でっかー!」と声があがる一方で、畑の隅で土で遊んだり虫を捕まえたりしている子も。「子どもたちがやりたいことを思う存分できればそれでいいというのが私たちの考え」と圓山めぐみさんは言います。

さつまいもの収穫体験を楽しむ親子
さつまいもの収穫体験を楽しむ親子

エマリコくにたちは、東京で生産された野菜の卸事業や直売所事業、飲食事業などを通して、生産者と消費者とをつなぐ流通企業。都内の農家とつながるなかで2019年秋に始まったのが、農体験事業「農いく!」でした。インターンの大学生の発案で、農家の協力のもと野菜の収穫体験をしたのが最初で、事業責任者を務める圓山さんは当時4歳だった子どもと一緒に参加しました。「これがものすごく楽しくて、気持ちよくて。子どもが畑で楽しそうにイキイキと過ごしている姿が新鮮で、親としてなんだかうれしかったんです」と振り返ります。「それまでは“食育”というのにピンときていなかったんですが、プロの農家さんからどうやって育てたかなど野菜の話を聞いて、自分で収穫して、食べて、これぞ食育だなと腑に落ちました」。もっとやりたい、この体験を広めたいと、事業としてスタートすることになったといいます。

「まちなかの畑を開く」をコンセプトに、東京の農家さんと都会に暮らす親子をつなぐ
「まちなかの畑を開く」をコンセプトに、東京の農家さんと都会に暮らす親子をつなぐ
玉ねぎの収穫体験。誰にでも気軽に参加してほしいと、イベント参加費は1家族(親子)2千〜4千円程度とリーズナブルに抑えている
玉ねぎの収穫体験。誰にでも気軽に参加してほしいと、イベント参加費は1家族(親子)2千〜4千円程度とリーズナブルに抑えている

「農いく!」のメーンは、野菜の収穫体験です。国立市、国分寺市、立川市、日野市、三鷹市など都内の農家の畑を訪れ、トマト、ブルーベリー、さつまいも、とうもろこし、枝豆など旬の野菜の収穫を親子で体験します。お世話になる農家のことは「先生農家さん」と呼び、その日収穫する野菜に関する絵本を読んだり、先生農家さんの話を聞いたりして野菜についての理解を深めてから収穫に臨みます。

企画する圓山さんたちも想定していないところから学びが始まることも。最近も、ある子どもが「あのピーマンはなんで赤いの?」と疑問をもったことから、実は私たちが普段食べているピーマンは未熟な実で、放っておくと熟して赤くなるのだと先生農家さんが教えてくれたことがあったといいます。「みんな驚いて、赤くなると栄養価はどうなるの、味はどうなるの、と大人からもどんどん質問が出て……。こうした自然発生的な問いを拾い、その場を親子で一緒に楽しむことも大事にしています」

畑で子どもたちに絵本を読む圓山さん。絵本タイムを楽しみにしている子どもも多いそう
畑で子どもたちに絵本を読む圓山さん。絵本タイムを楽しみにしている子どもも多いそう
野菜について話をする「先生農家さん」。「実は、野菜のことを話したい、伝えたいという農家さんは多い」と圓山さん
野菜について話をする「先生農家さん」。「実は、野菜のことを話したい、伝えたいという農家さんは多い」と圓山さん

気軽に参加できる1dayプログラムのほか、大豆を育てて味噌をつくるといった「自産自消」をテーマにしたシリーズプログラムもあります。参加する子どもの年齢は4、5歳がボリュームゾーンですが、内容によっては小学生以上を対象にしたものもあります。

野菜を収穫してみたい、新鮮な野菜が食べたい、休日の親子のお出かけでいつもとは違うことがしたい、子どもに自然に触れさせたい……と、参加のきっかけはそれぞれ。圓山さんは「農家さんがいて畑があって、その農家さんが育てた野菜があって、虫がいたり、トラクターなんかもあったりして。農家さんとの交流も含めて“農”を五感で感じるなかで、へえそうなんだと新しい発見がある。その価値を多くの人と共有したいというのが、事業の根底にあります」と強調します。虫が苦手、汚れるのがイヤと言っていた子どもたち、そして大人たちも、畑にいると意外と平気になっていき、リピーターも多いそうです。

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