サピックス広野先生の 知っトクなっトク中学受験
中学受験に向けて、低学年のうちに基礎をコツコツやる習慣をどう身につけさせるか
2022.10.27

情報過多の時代の中学受験。大手進学塾サピックスの広野雅明先生が保護者の方々に向け、情報を上手に利用するコツを解説します。
焦らず少しずつ積み重ねて
最近よく中学受験の早期化が言われます。大学入試改革、英語4技能、プログラミング、ICT教育などの教育ニュースを耳にしますと、わが子のために、早く準備しなければと気ばかり焦ってしまいます。確かに早めに準備した方がよいこともありますし、先取の効果が高いこともあります。その一方で脳の発達段階を考えるともう少し待った方がよいこともありますし、個々の発達の差もありますので、周囲の子と無理に合わせない方がよいこともあります。子どもが興味を持てないことを無理に押し付けて嫌いになってしまうと最悪です。今回は低学年までにやっておきたいことについて書かせて頂きたいと思います。
まずは低学年での通塾や習い事についてです。多感な時期ですので、様々な体験をさせたいとは思いますが、無理は禁物です。サピックスを中心に紹介させて頂きます。
中学受験の学習塾のカリキュラムは小3(新小4)の2月から、小6の1月までの3年間が基本になっています。教科や塾により差がありますが、小5の1月までに一通り学習し、小5(新小6)の2月からは総復習、小6の夏休みからは入試演習や志望校対策になることが多いです。社会は、公民分野は6年生になってから学習することが多いのでもう少し後ろになります。中学受験は志望校対策が重要なので早くから対策や過去問学習を始めた方がよいという考えもありますが、基礎固めが不十分な状態で始めてもあまり効果はありません。各教科の実力が十分に伸びていないと、単に解説を聞くだけで実力にはつながりません。焦らず少しずつ積み重ねていくことが肝要です。

サピックスでは小学部の授業は年長生の2月から新小1準備講座、1年生の授業から算数・国語の授業が始まります。1年生、2年生は算数と国語ですが、3年生からは理科と社会が加わり、4科目になります。4年生以後は各教科でほぼ毎回小テストがあり、約1カ月に1回のペースでクラス分けのテストがあります。ただし、低学年の授業はどの学年も週に1回で、漢字以外の小テストはほとんどありません。クラス分けのテストも約2カ月に1回で算数と国語のみです。低学年の授業では先取もありませんので、まずは毎回の授業を楽しみながら通塾に慣れて頂く準備期間の要素が強くなっています。週に1回の通塾が学習のリズムを作りますので、負担の少ない通塾で学習習慣をつけるのも一案だと思います。
また低学年時は、通塾はせずに通信教育や各種教育アプリなどで自宅学習をさせるご家庭も多いです。サピックスでは「ピグマキッズくらぶ」という通信教材を小1から提供しています。月に1回で先取はせずに、学年相当の内容を楽しみながら学習する教材になっています。毎月、添削問題もありますので、こちらを提出すれば、詳細なコメント付きの返信が学習のモチベーションにつながりますし、各ご家庭のペースで無理なく学習することも可能です。このような通信教育を利用することも一案です。