一色清の「このニュースって何?」

近づくアメリカの中間選挙 → あの国の政治の仕組みを知ろう

2022.10.28

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、討論会の会場前で共和党の支持者ら掲げた、トランプ前大統領を支持する旗=2022年10月17日、米オハイオ州ヤングスタウン)

2年後の大統領選挙に影響

アメリカ合衆国の中間選挙の投票が11月8日におこなわれます。中間選挙とは、4年ごとにある大統領選挙の中間の年におこなわれる選挙のことです。連邦議会上院(定数100、任期6年)の3分の1と、下院(定数435、任期2年)のすべてが改選されます。約7割の州では州知事選挙もおこなわれます。

中間選挙の結果は、大統領に対する国民の評価という意味あいがあり、2年後の大統領選挙に影響を与えます。アメリカは世界で群を抜く経済大国であり軍事大国です。つまり、その結果は世界に影響を与えることになります。同盟国である日本にはより大きな影響があります。そんな重要な中間選挙をきっかけにしてアメリカの政治の仕組みを知っておくといいと思います。

アメリカと日本は同じ民主主義国ですが、仕組みは違います。アメリカは国民が投票を通じてリーダーを選ぶ大統領制の国です。日本は選挙で選ばれた国会議員がその中からリーダーを選ぶ議院内閣制の国です。一般的に王制(天皇制も含む)のある国は大統領制をとりません。大統領制は名実ともに「大統領が国のトップ」といえる国がとる制度です。

アメリカ大統領は国民の投票で選ばれるので、日本の首相より権限が強いと思われがちですが、一概にそうとは言えません。たとえば、予算です。国の重要な仕事のひとつは予算を決めることですが、アメリカ大統領には予算編成権がありません。あるのは議会で、議会が予算案を独自に作成して審議します。大統領は予算教書とよばれる予算案のようなものを示しますが、これは提案にすぎず、議会をしばるものではありません。日本は首相が率いる内閣が予算案を作って、国会が審議します。

また、日本では首相が所属する政党が第1党であることがふつうですが、アメリカは大統領選挙と連邦議会選挙が別々におこなわれるので、大統領が所属している政党が議会では少数派ということがありえます。そうなると、大統領がやりたい政策が実現しにくくなり、大統領の存在感は小さくなります。

アメリカ政治のきわだった特徴は、典型的な2大政党制になっているということです。連邦議会議員が所属する政党は民主党と共和党の二つだけです。しかも、現在上院は民主党系(無所属2人含む)が50議席、共和党が50議席。下院は民主党が220議席、共和党が212議席です。どちらも民主党と共和党がほぼ互角といっていい議席数です。

大統領は1853年に就任した第14代のピアース以来第46代のバイデンまですべて民主党と共和党の2党が占めています。第2次世界大戦後のアメリカ大統領をみると、トルーマン(民主)、アイゼンハワー(共和)、ケネディ(民主)、ジョンソン(民主)、ニクソン(共和)、フォード(共和)、カーター(民主)、レーガン(共和)、ブッシュ(共和)、クリントン(民主)、ブッシュ(共和)、オバマ(民主)、トランプ(共和)、バイデン(民主)となっています。両党の政治家がほぼ交互に務め、数も民主党7人、共和党7人とまったく同じです。

アメリカには2党以外にも政党がありますが、連邦議会の下院選挙が当選者1人の小選挙区制であることや大統領選挙ではほとんどの州で勝者総どり方式を採用していることなどから、大政党である民主党と共和党の候補者しか事実上当選できなくなっています。イギリスも保守党と労働党の2大政党制といわれますが、ほかにも自由民主党などの第3勢力があり、アメリカほどはっきりした2大政党制ではありません。

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