変わる東大生
東大生の就職先、20年で様変わり 官僚、銀行から外資系コンサル、ITへ
2022.11.02

かつては4年で学部をストレートに卒業して、官僚や伝統的な大企業を目指していた東大生の意識が変わっています。この変化を探るために、この20年間の国家公務員総合職(旧Ⅰ種)試験の合格者数や、業種別の就職者数、就職先の推移を調べました。そこからは日本社会や経済の環境の変化を背景に、東大生が目指す進路が変わってきたことが読み取れます。(写真は東大の赤門)
国家公務員総合職合格者は半分以下に
1990年代からの国家公務員総合職(2011年まではⅠ種)試験の大学別合格者数や、東大が公表している2003年卒業生以降の業種別就職者数、それに07年卒業生以降の就職先を調べた。就職先は、東京大学新聞から大学通信が集計した。
まず2022年3月卒業生の就職先から見てみよう。東大の学部卒業生は毎年約3000人。工学部は7割近く、理学部は8割以上が大学院に進学するなど、理系を中心に進学者が多く、就職するのは、学部卒業生の3分の1程度の1000~1100人である。今回の就職先には、大学院修了者も含んでいる。
2022年卒業生の就職先で最も多かったのは、外資系コンサルのアクセンチュア。18年にトップになって以降、19年の2位を除いて首位が続いている。
就職先の上位10社は、以下、2位ソニーグループ、3位楽天グループ、4位マッキンゼー・アンド・カンパニー、5位日立製作所、6位に同数でソフトバンク、野村総合研究所、PwCコンサルティング、9位に同数でヤフーと富士通が続く。一昔前の卒業生からすれば、全く意外な結果ではないだろうか。
例えば、07年卒業生の就職先と比べてみよう。トップは、みずほフィナンシャルグループ。以下、2位日立製作所、3位大和証券グループ、4位NTTデータ、5位東芝、6位野村証券、7位トヨタ自動車、8位に同数で東京電力、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)が続いている。
東大の公表データから、03年学部卒業生の進路を業種別に見ると、最も多いのは公務員(196人)で就職者の18%を占めていた。金融・保険(183人)、サービス(162人)、情報・通信(157人)と続いている。
公務員は04年学部卒業生では就職者の20%いたが、05年卒業生から金融・保険が上回り、以降、業種別の就職者数では金融・保険が一貫して最も多い。公務員は22年卒業生では、12%まで下がっている。業種別で増えているのが情報・通信で、22年学部卒業生では公務員を上回り、金融・保険に次いで多い。製造業も18年卒業生あたりから減少傾向にある。
官僚志望者が受ける国家公務員総合職試験(春)の合格者数の推移を見てみよう。1990年代前半まで東大は毎年500人前後の合格者を出していた。90年代後半に400人を下回った時期があったが、02年から増加し、00年代前半には500人近くまで戻った。以後、漸減しながらも16年まで400人台半ば~前半の合格者を維持していたが、17年以降は急激に減少している。
