一色清の「このニュースって何?」

2026年サッカーW杯は48チームで → 優勝の決め方などで頭の体操をしよう

2022.11.04

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一色 清
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肥大化するW杯

48チームが参加する北米大会の試合形式もリーグ戦とトーナメントを組み合わせるのは同じです。ただ、リーグ戦のひと組を3チームとし、16組作ります。3チームのリーグ戦はひと組の試合数が3になります。するとリーグ戦の総試合数は、3試合×16組=48試合でカタール大会と同じです。

決勝トーナメントの出場を上位1チームとすればカタール大会と同じ16チームになり、総試合数はカタール大会とまったく同じになりますが、それでは大会規模を大きくしてビジネス規模を大きくするというFIFAの目的に沿わないので、実際には3チームのうち上位2チームが決勝トーナメントに進むことにしました。そのため、決勝トーナメント出場チームは2チーム×16組で32チームとなり、カタール大会の倍のチーム数になります。となると、決勝トーナメントの試合数は32-1=31試合で、3位決定戦を加えると32試合となり、合計の試合数は48+32=80となります。カタール大会に比べて80-64=16で、16試合増えることになります。

優勝するまでにチームが戦わなければならない試合数はどうなるでしょう。北米大会ではリーグ戦で2試合おこない、トーナメント戦で5試合おこなうので、計7試合です。カタール大会はどうでしょう。リーグ戦が3試合、トーナメント戦が4試合で計7試合です。優勝チームの試合数はこれまでと変わりません。32チームを48チームに増やしたものの、試合数を大きく増やさないためにリーグ戦のひと組を3チームにした効果が表れています。

一方、北米大会で増える16チームの枠をどの予選地区に割り振るかも注目されていました。枠の増え方がもっとも大きいのはアフリカで、それまでの5から9.5に増えました。0.5は他地区との大陸間プレーオフ(PO)を勝ち抜けば出られるという意味を表しています。次に大きいのはアジアで4.5から8.5に増えます。アジア地区の日本は98年大会から7大会連続で出場していますので、4増えるということは予選がさらに楽になるといえそうです。アフリカとアジアは人口が増え、経済が発展している地域です。経済が発展すれば、サッカーをしたり見たりする人も増え、サッカーのレベルは上がります。この両地区の将来性を見込んでの枠拡大ということです。

北米は3.5から6.5に増えました。北米は国の数が少ないため、アメリカ、メキシコなどは予選通過がずいぶん楽になったと考えられます。そのほか、南米は4.5から6.5に、オセアニアは0.5から1.5に、ヨーロッパは13から16に増えます。ヨーロッパの増え方が比較的小さいように見えますが、サッカーの盛んなヨーロッパのチームはこれまで全参加チームの4割以上を占めていたので、これくらいの増え方が妥当なところでしょう。それでも参加チームの3割以上を依然占めています。

サッカーW杯の肥大化についてはいろいろな意見があります。もっと肥大化させようというものとしては、「4年に一度ではなく2年に一度にしよう」という声があるそうです。一方で、肥大化を心配する声もあります。「W杯の価値が落ちるのではないか」というものです。確かに、出場するのが当たり前になってくると出場の喜びは薄くなります。日本が初めてW杯出場を決めた「ジョホールバルの歓喜」は忘れられません。48チームになると、予選突破であんなに喜ぶことはもうないでしょう。また、開催頻度が増えると、W杯の特別感が薄れ、「またW杯か」といった年中行事感が出てきそうです。個人的には、W杯の肥大化はそろそろおしまいにしたほうがいいのかなと思います。

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