どうなる中学・高校入試
コロナ禍3年目の中学入試 文化祭公開など体験する「学校選び」の機会がほぼ復活
2022.11.10

コロナ禍3年目の中学入試に向け、学校選びが本格化しています。今年は文化祭を一般公開したり、学校説明会で在校生と話す場を設けたり、実際に校風を感じられる機会が増えているようです。(写真は開成中学・高校の特別授業で地理の問題に挑む小学生ら=2022年9月、同校提供)
文化祭・学園祭で校風を感じる
都内の女性(47)はこの秋、小6の長女と志望する私立中のオープンスクールに参加した。校内に足を踏み入れて学校の雰囲気をじかに感じられただけでなく、「在校生から『今度ある学園祭も見に来てよ』と誘われ、娘はやる気が高まったようだ」と話す。昨年に比べると、対面形式で参加できるオープンスクールや学校説明会、文化祭が増えていると感じる。これまで7校を実際に見学できたという。
感染防止対策で1家庭2人などと人数を制限している学校もあったが、1回目は夫と、2回目は娘と行くことで制限をクリアした。「説明会に登壇する在校生は行くたびに違うので、複数回行くことでより多くの生徒の話を聞き、校風を深く感じることができました」(女性)
大手塾・栄光ゼミナールによると、今年は首都圏の私立中の9割が文化祭の一般公開を再開した。同ゼミナールが、コロナ禍の影響を受けなかった現私立中3年生に志望校を決めた理由を尋ねたところ、「文化祭に参加し、自分の雰囲気に合っていると感じたため」との回答が多かった。このため、中学入試の責任者を務める藤田利通さんは「実際に足を運び、志望校の雰囲気を感じてほしい」と勧める。オープンスクールや学校説明会の参加人数を増やす学校も増えており、「今年は志望校を訪問できるチャンスが格段に増えている」(藤田さん)という。
開成中学・高校(東京都荒川区)は9月、3年ぶりに文化祭を一般公開した。
同じ日に開かれた教員の受験生向け特別授業も人気だったという。地理の授業は「1枚の写真から」というテーマで、国内外で撮影した写真の風景や影の向き、夕日が沈む方向から、撮影場所を特定する問題に挑んだ。担当した吉野修司教諭は「社会科は暗記勝負だと思って入学してくる子は少なくない。本来は体験を通じて楽しく身につける科目だと伝えたかった」と話す。
東京都市大付属中学・高校(東京都世田谷区)は10月の文化祭を3年ぶりに一般公開したほか、週末に行う学校説明会では部活見学を復活した。
冬休み期間中には、少人数に班分けした親子と一緒に、教員が30分ほどかけて校内を案内する「ミニ見学会」も予定している。広報部の菊野暁さんは「大人数の説明会と違い、受験生や保護者の疑問に直接答えられる。参加者には好評で、教員もやりがいを感じているので来春以降も続けたい」と言う。
山脇学園中学・高校(東京都港区)では、コロナ禍で見送っていた部活などの体験会や、生徒と語り合う時間を設けたオープンキャンパスを再開。昨年から導入した見学会は回数を増やした。鎗田謙一教頭は「見学会はコロナが収束しても残したい」と話す。

来春、開校する芝国際中学・高校(港区)では新校舎が完成する来年1月ごろから、小学6年生限定の校舎見学会を予定している。「入試体験」という形で、実際に校舎で入試問題を解く場も設ける。答案は採点した上で返却するという。