学習と健康・成長

ネットにあふれる広告 その負の影響から子どもを守るには?

2023.01.23

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末吉陽子
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YouTubeやSNSなどが普及し、インターネットは大人だけではなく子どもたちの生活にも浸透しています。親として気がかりなのは、子どもが触れる情報の中身。子どもと一緒にインターネットを閲覧しているときに、突然モラルに懸念のある広告が流れてきて、ひやひやした経験を持つ人もいるのでは?子どもが広告から負の影響を受けないように、親ができることはあるのでしょうか。かねてからこの問題に取り組んできた、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのアドボカシー部長を務める堀江由美子さんに伺います。

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話を聞いた人

堀江 由美子さん

公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン アドボカシー部 部長

(ほりえ・ゆみこ)英国の大学院を卒業後、一般企業に勤務。2002年にセーブ・ザ・チルドレンに入局。2012年3月に発表された「子どもの権利とビジネス原則」の日本語版の策定および国内での普及に関わる。また、「子どもに影響のある広告およびマーケティングに関するガイドライン」の策定に携わるなど、国内外の子どもの権利の実現に向けて、幅広い分野で政策提言を行う。

広告は、子どもの心の発達や人格形成にマイナスになりかねない

――インターネット上の広告が、子どもに与えるリスクについて教えてください。

主に、心身の健全な発達を阻害するリスクと、過度な購買行動を助長するリスクがあります。子どもには年齢に応じた発達過程があり、各段階で特性は異なります。特に低年齢の子どもは、広告の目的を理解できず、見たものや聞いたことをダイレクトに受け止めてしまいかねません。例えば、差別的な表現や性的な表現、偏見を助長するような表現などを含む広告は、子どもの人格形成や価値観に影響してくる可能性があります。

また、インターネットでは、広告を見ることを強いたり繰り返し見せたりする手法や、インフルエンサーによる商品やサービスのアピールなどが散見されます。こうした広告手法は、子どもに過度な期待を抱かせ、購買欲求を掻き立てる懸念があります。それによって、「インフルエンサーがPRする製品を欲しい」「この商品を持たないと仲間外れになるのではないか」と不安になるといった問題も。

さらに、インターネット上の広告は、コンテンツと広告の区別があいまいで、子どもが気づかないうちに、あるいは保護者の確認を経ることなく、課金や定期購入につながるといったトラブルも後を絶ちません。こうしたことを踏まえると、子どもに負の影響を与えるインターネット広告は少なくないと言えます。

――幼児期からインターネット利用の増える学齢期まで、注意が必要だと言うことですね。広告制作側に表現や手法への配慮が必要なのではないでしょうか。

その通りです。企業や広告制作者には、広告表現や手法が子どもに及ぼす影響について理解を深め、負の影響を及ぼさないよう配慮を求めたいと考えています

セーブ・ザ・チルドレンは、子どもに対する広告やマーケティングに関する国際的な基準を踏まえて、2016年に企業向けの「子どもに影響のある広告およびマーケティングに関するガイドライン」を作成しました。その中で、子ども向けの広告表現および手法において企業に配慮してもらいたいことを項目ごとにまとめています。しかし、負の影響をもたらす可能性のある広告がインターネット上に溢れている状況に、あまり変化は見られません。

――そこには何か背景があるのでしょうか?

祖父母と両親あわせて6つのお財布を意味する「シックスポケッツ」という言葉があります。日本に限って言えば、少子化ということもあり、このシックスポケッツから一人の子どもにお金が注ぎ込まれるケースが増えています。子どもの購買行動を喚起してシックスポケッツからお金を引き出すことが、企業の営利活動の一環になっていることは否めません。こうした背景から、子どもの消費欲求を刺激しようとする広告が減らないのでしょう。

そうだとしても、企業のマーケティングコミュニケーションが子どもの権利に負の影響を与えることは看過できない問題です。その認識を多くの企業に持っていただいた上で、広告表現や手法に反映していただきたいと思っています。

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