キャンパスリポート

オンライン授業は倍速視聴でも成績に影響なし 学内調査の分析を近大准教授に聞く

2022.11.29

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中村 正史
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新型コロナウイルスの感染拡大により、大学でオンライン授業が一気に広がって2年半余り。2022年度は原則、対面授業にする大学が増えましたが、オンライン授業を組み込んでいる大学は少なくありません。3年目を迎えて、学生たちはオンライン授業や対面授業をどうとらえているのか。近畿大学の今年度前期の授業評価からうかがうことができます。今春に開設された情報学部の越智洋司准教授に、調査結果をどう見るか、聞きました。(写真は、経済学部の教員のオンデマンド授業の画面=近畿大学提供)

越智洋司

話を聞いた人

越智洋司さん

近畿大学情報学部准教授

(おち・ようじ)徳島大学工学部卒、同大学院工学研究科システム工学博士課程修了。博士(工学)。徳島大学工学部助手を経て、2003年近畿大学理工学部講師、18年准教授。22年情報学部開設に伴い、情報学部へ移籍。専門は教育情報工学。教育・学習を支援するためのAI技術の開発や実践をテーマに、学習行動分析による多様な学びの評価支援の研究に取り組んでいる。

オンライン授業希望が9割

――今回の学生による授業評価の内容を教えてください。

2022年度前期(4月~8月)のオンデマンド授業履修者7080人を対象に、7月に行いました。オンデマンドというのは、録画した動画コンテンツを学生がいつでも受講できる形式のことです。

22年度は共通教養科目(一般教養科目)24科目、学部基礎科目3科目をオンデマンドで開講しています。共通教養科目では全38科目の63%に当たります。

「今後別の科目でオンデマンド授業、リアルタイムのオンライン授業、対面授業を選択できる場合、どれを選択しますか」という質問では、オンデマンド授業78.7%、リアルタイムのオンライン授業9.5%、対面授業11.8%になっています。

――オンデマンドとリアルタイムを合わせると、オンライン授業を希望する学生が9割近くにのぼります。他大学の同様の調査でも、オンデマンドを希望する学生が多いです。

オンデマンド授業の履修者が調査対象なので、やや高めに出ているかもしれませんが、対面授業を希望する学生は多くありません。20年に新型コロナウイルスの感染拡大で学生がキャンパスに入れず、オンライン授業になった当初は、「対面授業がよかった」という懐古的な反応が多かったですが、21年秋ごろから対面授業が再開されると、当初は学生のモチベーションが上がったものの、だんだん慣れてくると、「オンラインでいいのでは」「座学の授業が必要なの?」という反応に変わりした。慣れが大きいです。

ただ、演習(ゼミ)とか実験は対面授業の方がいいです。私が所属する情報学部でも、プログラミングの演習などは、対面授業だと学生がわからないところをすぐに聞けるので効果的です。

――オンライン授業の中では、リアルタイムよりオンデマンドを希望する学生が圧倒的に多いのは、なぜでしょうか。

リアルタイムのオンライン授業は、スライド中心の授業になります。画面越しだと、教員の表情や目線がどこを向いているかなどの情報量が少なくなります。通信環境の問題もあります。オンデマンドは学生が好きな時に好きな場所で見ることができ、繰り返し視聴できるため、学生の評価が高いのでしょう。

――「質問や意見に教員は適切に対応してくれましたか」という質問では、対面授業やリアルタイムの評価の方が高いですね。

全体では「非常にそう思う」「そう思う」が62%、「どちらとも言えない」31%で、評価は相対的に高いと思います。授業形態別では、一番評価が高いのは対面授業で、「非常にそう思う」「そう思う」が81%にのぼります。リアルタイムのオンライン授業は両者合わせて76%、オンデマンド授業は62%です。「非常にそう思う」だけを見ると、対面授業38%に対して、リアルタイムの授業32%、オンデマンド授業22%と差があります。

ただ、私の実感としては、オンデマンド授業でもスラックなどで質問対応をしていますが、質問はあまり来ません。対面授業だと、その場や授業後に質問しやすいからだと思います。

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