一色清の「このニュースって何?」

敵基地攻撃能力の保有で与党合意 → 日本の防衛について基礎知識を持とう

2022.12.09

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一色 清
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日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、陸上自衛隊が保有する12式地対艦誘導弾の発射装置=鹿児島県奄美市)

「専守防衛」が変わる?

今、日本の防衛のあり方が変わろうとしています。自民党と公明党は相手のミサイル発射拠点などをたたく「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有について合意しました。ある国が日本を狙ってミサイルを撃とうとしている場合には、日本が先にその発射拠点を攻撃できる能力を持とうということです。これまで日本の防衛は「もっぱら守りに徹する」という「専守防衛」を掲げてきましたが、それが変わるかもしれません。

また、防衛にかける国の予算である防衛費も変わろうとしています。これまで防衛費は国内総生産(GDP)の1%程度の水準を目安にしてきましたが、岸田首相はこれを将来、GDP比2%とするよう防衛大臣と財務大臣に指示しました。日本はこれまで軍事大国にならないとして防衛費の膨張に一定の歯止めをかけてきましたが、その歯止めが外れようとしています。

こうした防衛政策や防衛費のあり方が変わろうとしているのは、ロシアのウクライナ侵攻があったことと中国や北朝鮮の脅威が増していることに、政府や国民が敏感に反応しているためです。日本が他国から戦争を仕掛けられないためには、日本が高性能のミサイルをたくさん持つなど、「日本に仕掛けると大変なことになる」と他国に思わせるくらいの防衛力(抑止力)を持たないといけないという考え方が強くなっています。

ただ、こうした考え方は周辺国を刺激し、さらなる軍拡競争を招く可能性もあります。そして行きつく先は世界大戦になるのではないかという心配も出てきます。防衛のあり方については政治家や自衛隊にまかせていればいいと思いがちですが、万が一戦争になって困るのは国民です。戦争の当事国にならないためにも、日本の防衛についての基礎知識をひとりひとりが持って、どうするのがいいのか考えておきましょう。

まず、最初に知っておかなければならないのは日本国憲法です。太平洋戦争で敗れた反省を込めてつくられ、1947年に施行されました。前文では平和主義をうたい、9条1項では「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とし、2項では「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」としています。つまり、戦争はしないということと戦力を持たないということが書かれています。

ただ、政府は自分の国を守る自衛権はあり、自衛のための戦争はできるし、自衛のための戦力は持てると解釈しています。このため、軍隊とは呼ばない自衛隊を持ち、陸軍ではなく陸上自衛隊などという呼び方をして、憲法との整合性をとっています。

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