子どものお金教育
100万円あったらどう使う? 高校家庭科で始まった株式や投資信託を教える授業
2023.01.17

「ESG」「エシカル」で企業を分析
中央大付属高校(東京都小金井市)は、「社会を良くする」という視点を重視した学びを展開している。
環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)に配慮しているかを投資の判断材料にする「ESG 投資」や、環境や社会への配慮を重視した「エシカル投資」を学習。ESG やエシカルの観点で企業の活動内容を調べ、企業情報を読み解く取り組みをしている。齋藤和可子教諭は「将来、実際に投資をするようになったときも、お金がもうかるかだけでなく、世の中を良くすることにつながるかという視点を持ってほしい」と言う。
一方で、現場には「株式投資などは高校生には先のこと。イメージがつかみにくいし、教員自身にも経験がなく、教えるのは難しい」(中国地方の高校教諭)との声もある。教える側も悩み、模索しているのが実情だ。
高校で公民科の教員を務めた神奈川大特任准教授、梶ケ谷穣さんは「金融のことは公民科でも家庭科でも学ぶ。法制度や仕組みなどマクロな視点で学ぶ公民科と、パーソナルな部分に軸足を置く家庭科が連携することで、より深い理解につながる」と指摘する。
前出の岩澤教諭も数年前から公民科と連携した授業を続けている。「公民の『社会を良くする』という視点が加わることで、自分の生活と社会の関わりを深く認識し、投資や社会保障の役割をより多角的に考えられるようになる」と話す。
梶ケ谷さんは昨年、二つの大学で学生73人に暗号資産(仮想通貨)の取引経験の有無を尋ねてみた。6人から「経験がある」という答えが返ってきたという。「若者の投資へのハードルは下がっている。高校生までの段階で、様々な資産形成の仕組みやメリット、デメリットを学ぶことには、大きな意義があります」と力を込める。