学習と健康・成長

親を悩ます子どもの食べ物の好き嫌い どうしたら克服できる?

2023.01.27

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小林 香織
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保護者の悩み事としてたびたび挙げられる、子どもの好き嫌い。成長すると克服できる食べ物もあれば、そうでないものもあります。子供の好き嫌いの原因や克服方法について専門家に聞きました。

Reiko_Ueda

話を聞いた人

上田 玲子さん

栄養学博士/管理栄養士

(うえだ れいこ)女子栄養大学栄養学部、国立公衆衛生院専門課程、女子栄養大学大学院後期博士課程で学び、光山小児科医院、コシ産婦人科医院にて栄養指導を担当する。(株)トランスコウプ総合研究所 取締役として栄養コーチングの手法を開発。日本栄養改善学会評議員や日本小児栄養研究会運営委員などを務める。専門は小児栄養学・小児保健学・食育・健康教育学。離乳食、妊娠中の食事に関する著書多数。

子どもの食べ物の好き嫌いの「4つの原因」

ーー子どもの食べ物の好き嫌いは、何が原因だと考えられますか。

小学生以上の子どもの食べ物の好き嫌いには、主に以下の4つの原因があります。

①咀嚼(そしゃく)力の影響
子どもは、5〜6歳から乳歯が抜け始め、11〜13歳に永久歯が生えそろうといわれます。生えそろうまでの間、硬い食感、皮や繊維が口に残るもの、弾力のあるもの、唾液を吸って口の中がぱさつくものなどが食べづらく、嫌いになる傾向が見られます。

②食べず嫌い
人間の本能とも言える、「怖いから食べたくない」という心理。食べたことがなく、見た目がおいしそうではないものには警戒心が働きます。

③基本的嗜好
人間には、生まれつき誰もが持っている食べ物の嗜好(しこう)があります。食べ物の味は、甘味、旨味、塩味、酸味、苦味の5種類が基本で、生まれたばかりの赤ちゃんは本能的に酸味と苦味を嫌います。なぜなら、酸味は腐敗の危険信号になる味であり、苦味は生物界では毒の味とされているためです。成長につれて食べ物の知識を広く得ることで、酸味や苦味を自然と受け入れられる人が多いですが、本来は避けたい味なのです。

④食物嫌悪学習
ある食べ物を食べた後、吐き気や腹痛など心身の異常があり、二度とその食べ物を口にしたくなくなる現象を「食物嫌悪学習」といいます。その食べ物にまつわるつらい経験がトラウマとなって、嫌いになってしまいます。

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