スクールリポート

男子が「生理」を学ぶ意味はある? 駒場東邦で体や性について思考実験する特別授業

2023.01.19

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市川 理香
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男子校の駒場東邦中学校(東京都世田谷区)で昨年12月、中学2年生を対象にした特別授業「『生理と災害』の思考実験」が行われました。男子が「生理」を学ぶ意味とは何なのでしょうか。

家族から生理用品を頼まれたら

特別授業の講師をした「アクロストン」は、みさとさんとたかおさんのユニット。医師を本業としながら、本の執筆や講演、テレビ出演などを行い、体や性の正しい知識を子どもたちに伝えている。

講堂に集まった生徒たちに、みさとさんから「生理って知ってる?」と質問が投げかけられると、思い思いに「おなかが痛くなる」「血が出てくる」などの答えが出た。小学4年生の授業で生理は扱われており「知っている」が、学ぶ知識は通う小学校により差があるのが現実だ。実際にはおなかが痛くならない人もいるし、出てくるのが血とするのは不十分。それでも生徒たちは、子宮に起こる変化、日数、頻度(周期)、年齢、子宮の大きさなどの基本的な知識を聞き、生理用品を交換するタイミングなどを一生懸命考えていた。

授業では、2日前に大地震が起きて自宅避難中という設定で、自宅避難中の家族から「避難所に行って生理用品をもらってきてほしい」と頼まれたとき、「あなたならどうする」というミッションが与えられ、グループで考えた。

事前に、グループごとに別々の紙袋に入った3種類の生理用品(ナプキン、タンポン、月経カップ)が配られており、パッケージを開けて繁々と眺める生徒もいれば、説明書を読みながら感触を確かめている生徒もいる。興味津々でもなく、かといって無関心でもなく、淡々としているのだが、ミッションを遂行するアイデアは、なかなか出ない。

グループに分かれて生理用品を実際に触ってみる
グループに分かれて生理用品を実際に触ってみる

三つの選択肢から、ナプキンやタンポンを選んだグループもあれば、使い方の説明書をよく読んだとみられ、「水や除菌シートがあるならば」という条件付きで月経カップを選んだグループもあった。「一度帰宅して何がよいかを聞いて出直す」という答えに対して、みさとさんは「うれしい」と応じ、災害時の避難所には男性が多く意思決定者に女性が少ないこと、何が使いやすいかは本人の意思を聞くことが大切だということも話した。

授業後、「知ることができたよかった」という生徒たち。「身近なことのはずなのに、これまで全く知らなかった用品の使い方を知ることができ、新鮮だった」「授業がなければ知る機会がないことだと思ったので、こういう授業があってよかった」。また、「皆が気まずい雰囲気になっていて面白かった」という声もあった。

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