スクールリポート
学年を超えグローバルな社会課題を考える 大妻中野中高の生徒有志「フロンティア・プロジェクト・チーム」
2023.01.26

世界に貢献できるリーダーの育成を目指し、グローバル教育に力を入れる大妻中野中学・高校(東京都中野区)。生徒の自主的な活動もさかんで、有志生徒による「フロンティア・プロジェクト・チーム」のメンバーが、社会問題について考えるイベントの運営やボランティア活動に取り組んでいます。
学年を横断するフロンティア・プロジェクト・チーム
大妻中野は2015年からSGH(スーパーグローバルハイスクール)アソシエイト認定校、19年からユネスコ・スクール加盟校になるなど、国際教育に取り組む学校のネットワークに積極的に参加している。また、複言語教育や学校設定教科「グローバル・イシュー・スタディズ(GIS)」などのプログラムを強化すべく、20年には「大妻中野グローバル・センター」も開設した。
そんな大妻中野の取り組みのなかでもいち早く、SGH申請準備に伴って14年に構想が始まり、15年4月から活動スタートしたのが、中2から高2までの学年横断型の特別カリキュラム「フロンティア・プロジェクト・チーム(FPT)」だ。参加は希望制で、生徒がプロジェクトチームを組んで、毎週土曜日の午後に活動している。
元々はSGHの準備として手探りで始まったというが、現在は、生徒個々の関心事から編成したチームごとに、講演会やワークショップの企画運営、ボランティア活動を行っている。どんな授業をするのかを考えるのも生徒自身で、教師はサポート役に徹しているとFPT担当の大西麗先生は言う。
今年度は24人が、「ゴミ環境」「防災減災」「共生社会」「教育・子ども」「女性ジェンダー」の5チームに分かれ、障害のある人や日本に暮らす外国人との共生、地域社会、ジェンダー問題などを考えてきた。2022 年12月23日には、発展途上国の子どもを支援する国際NGO「プラン・インターナショナル」が制作に参加した映画「Girl Rising ~私が決める、私の未来」の校内上映会を実施した。
知ることから一緒に始める
上映に先立ちメンバーがチームの活動を紹介し、映画を見て、知識を得て、問題を身近に感じて欲しいと呼びかけた。細部にまでメッセージを込めようと、国際女性デーのシンボル、ミモザの花から着想した黄色い画用紙で、参加者が胸につけるリボンも用意した。

「Girl Rising ~私が決める、私の未来」は、九つの国、9人の女性・少女本人の直面する児童労働、児童婚、出産、レイプ、貧困、宗教などが描かれた2013年制作のドキュメンタリー風オムニバス映画だ。約10年を経てもいまだ解決していない課題に、上映会の後の意見交換でも生徒たちの感想はさまざまだった。
「課題が示されるだけの映画かと思ったら、本人たちがつらい現実のなかでも夢を語っていて考えさせられた」
「私たちにとって当たり前の学校に通うということが、その人にとっては大きな夢であり、通いたいという強い意志が感じられた」
「学校で学びたいと言っただけで殺されることもあるのに、カメラの前で伝えてくれたことに応えたい」
「家庭が女の子の教育に大きな影響があることを痛感した」
「宗教、文化の違いで済まされないし、個人の力ではどうすることもできないかかもしれないが、一人ひとりの力も大切だと思った」