スクールリポート

学年を超えグローバルな社会課題を考える 大妻中野中高の生徒有志「フロンティア・プロジェクト・チーム」

2023.01.26

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市川 理香
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100万円の使い方を考える

この日は、メンバーによる発展途上国の女の子の現状と教育の意義に関するプレゼンテーションを踏まえて、「もし100万円あったら、どう使うか」を考えるワークショップを行った。「奨学金」「無料の学校給食」「制服と学用品の支給」「母親の職業訓練」という選択肢に優先順位をつけ、グループの意見をポスターにまとめ発表した。順位をつける過程で「どうすれば幸せになれるか」を考えることが狙いだ。結果は「奨学金」と「母親の職業訓練」が同数。奨学金があれば教育費が親の負担にならず学校へ行ける、お金の使い方が学べる、母親がスキルを身につければ貧困の負のループから抜け出せるといった理由が述べられた。

グループワークは日常の授業でも多く行われており、生徒たちの進め方に迷いがない
グループワークは日常の授業でも多く行われており、生徒たちの進め方に迷いがない

高1からFPTに参加した生徒(高2)は、自分は何がしたいのか、進路を考えるきっかけになればと思ったのがきっかけで、「はじめは社会課題に関心があったわけではありませんでした」とはにかむ。今回の授業をリーダーとして企画し、「上映会のみでなく、今年は参加者のワークショップを加えたので、チーム5人で企画を考えるのが大変だった分、達成感が大きい。もっと深掘りする時間が欲しかったです」と振り返った。そして、元々関心のあった日本の女性史を勉強するという進路を考えていると教えてくれた。

FPT活動で楽しさと感謝される喜びを知り、中2から高2まで活動を続ける生徒もいるという。だからこそ大西先生は、途上国支援や開発支援など海外の現場で活動した当事者の話を聞く機会を設け、「助けてあげる」意識に陥らないことも大切にしているそうだ。

周りに広げてバトンをつなぐ

上映会後のワークショップでは、どの生徒も活発に意見を出し合っていた。FPTでは学年を超えて意見を言い合える安心感があると大西先生は言う。中2からFPTに参加している生徒(中3)は「意見を出し合う先輩の姿から学ぶし、先輩も下級生を尊重してくれる」と FPTの雰囲気を説明する。それが、プロジェクトメンバー以外の生徒が加わっても損なわれないのは、「FPTレポート」を校内オンラインで配信したり掲示したりしていることや、年間活動を全校生徒に向けて発表するなど、日頃からFPTの活動を全校に伝えているからだ。大西先生は「自分が学んだことを発信して周りに広めることもFPTの役割」と生徒に伝えているという。

上映会への参加を呼びかける際、自分たちで作った募金箱を抱えて校門に立って行った募金は、プラン・インターナショナルへ贈られる。

上映会参加者やFPTメンバーで記念撮影。学年やクラス、立場を超えてつながる
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