〈PR〉花まる学習会

無人島には電気もガスも水道もないし、知り合いもいない でも何もないからこそ、子どもたちは「ある」ものに目を向けるようになる

2023.01.31

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サマースクールや雪国スクールなど、季節ごとに野外体験を行っている花まる学習会。広島県にある無人島・来島(くるしま)での野外体験をスタートさせました。 毎夏6000人を引率する花まる学習会のサマースクールにできた、究極の野外体験コース。電気・ガス・水道もなければ、助けてくれる親も、知り合いもいない。そんな無人島での3泊4日で、子どもたちは何を感じ、何を考えるのでしょうか。野外体験で「リーダー」として子どもたちを見守る、同会代表の高濱正伸さん、野外体験部長の箕浦健治さん、無人島担当の加藤崇彰さん、橋本一馬さんに話を聞きました。

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話を聞いた人

高濱正伸さん

花まるグループ 代表

(たかはま・まさのぶ)1993年に学習塾「花まる学習会」、95年に進学塾部門「スクールFC」を設立。教育や子育てに関する著書を多数出版。講演活動にも意欲的に取り組む。野外ネームは、やる気満々を意味する「まんまん」。

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話を聞いた人

箕浦健治さん

花まる学習会 野外体験部長

(みのうら・けんじ)2004年に入社し、野外体験の豊富な実績を買われて翌年には野外体験部長に。野外体験教育の基盤を築く。学校や自治体からの講演依頼など多数。野外ネームは「ファイヤー」。

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話を聞いた人

加藤崇彰さん

花まる学習会 野外体験部 無人島プロジェクト責任者

(かとう・たかあき)学生時代から花まる学習会の野外体験に関わり、入社を機に広島県へ移住。オンライン教室の教室長を務めながら、子どもや保護者の受け入れ、島の開拓、情報発信などを担当。野外ネームは「カトパン」。

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話を聞いた人

橋本一馬さん

花まる学習会 野外体験部 関西ブロック教室長

(はしもと・かずま)前職が家具職人で、家具製作技能士や狩猟免許などの資格を持つ。花まる学習会では工作教室やものづくり体験などの担当を歴任し、無人島プロジェクトに参加。野外ネームは「職人」。

本質的な頭の良さや人間力は、外遊びで身につく

花まる学習会
手前から 高濱さん、箕浦さん、加藤さん、橋本さん

――花まる学習会では、30年前の設立当初から野外体験を教育の柱の一つとしてきました。野外体験は、子どもたちにどのような成長をもたらすのでしょうか。

高濱 日本の教育だと、例えば算数なら計算練習を繰り返しやらせますが、そのやり方では図形問題で補助線を引くなどの応用力は身につきません。頭の良さの本質は、自分で何かを発見したり、構想したりできること。そうした本来の意味での頭の良さを身につけられる場が、外遊びです。

野外体験は友達同士では申し込めないルールなので、参加者の中に知り合いはいません。最初は不安や壁を感じたとしても、知らない人の中で初めての経験を重ねるうちに、子どもたちは外の世界に対して自信が持てるようになっていく。結果として、人間力も身につきます。

橋本 参加者に知り合いがいないというのは花まるの野外体験の大きな特徴で、これは意図的に行っています。いつか大人になって親元を離れ、自分のことを誰も知らない社会に一人飛び込んでいく疑似体験を、子どものうちに「ミニ社会」で経験してもらおうと考えてのことです。

箕浦 人とどう関わっていくかは、「メシが食える大人」になるための大事なキーワードです。社会に出たら周りはいい人ばかりじゃないし、嫌なことをされることもある。さらに、野外体験では自然という自分の力ではどうにもならない状況の中に身を置くことになります。それでもなんとか知恵を絞って、時には仲間の力を借りながら目の前のことをやり抜く経験は、将来必ず役に立ちます。

自信がない子やコミュニティーを上手く築けない子に共通しているのは“経験の無さ”。たくさんのことに挑戦し、経験を積んでほしいので、私たちは子どもたちのどんな小さな「できた!」も見逃さずに、「よくできたね!」「すごいね!」と言葉にして伝えるようにしています。

加藤 野外体験では、子どもたち同士も、お互いにいいところを見つけて褒め合うんですよ。マッチで火をつけられただけでも、「マッチの神だ!」とか、そんな感じで。誰かにやらされるのではなく、自分の意志でやったことを周りから認められると、子どもは「自分はここにいてもいいんだ」と安心して心を解放できるようになります。

「ミニ社会」が子どもの成長を促す

友達同士では参加できないのが、花まる学習会の野外体験の特徴。周りは知らない人ばかりなので、「学校ではこういうキャラ」「長男だから我慢するのが当たり前」といった、いつもの役割、いつもの関係性から抜け出して、自分の新たな一面にも気づくことができます。「都会の学校にいると、頭の良い子が一番の王様みたいな感じになるけれど、野外に行ったら『釣りが上手い』とか『虫に詳しい』とか、評価基準は無限にあって、教室では目立たないと思われていた子がポンッと目立つチャンスがある。偏差値やテストの点数のような他人が決めた評価基準ではなく、自分で評価基準を決められるのが、外遊びの最高にいいところです」(高濱さん)

――2020年には、野外体験のために無人島を手に入れたとか。

橋本 広島県にある、来島(くるしま)という無人島です。潮の流れが複雑な瀬戸内海にポツンと浮かんでいる島で、安芸津という小さな港町から船で片道20分ほどかかります。

箕浦 新型コロナウイルス感染拡大の影響で野外体験が全部中止になっている時期に、いい島が見つかって。高濱代表はすぐここに決めました。

高濱 ポツンと浮かぶ無人島が、今までなかなか見つからなかった。来島は、歩いても泳いでも街には帰れない逃げ場のない場所なんですが、だからこそワクワク。100年続く野外体験の中心的な場所にしたいと思っています。

加藤 草がボーボーで足の踏み場もないところから開拓を始めて、2021年のサマースクールで初めて子どもたちを受け入れました。 

――無人島での野外体験は、他の場所で行う野外体験とはどのような点が異なりますか?

橋本 まず、小学6年生以上が対象であるというのが、他のコースとの大きな違いです。もう一つ、花まるグループの「宿泊」の野外体験に2回以上参加していることも条件ですね。

高濱 6年生なら最高学年の自覚もあるので、命に関わるような危険なことはしませんから。

橋本 島に着いたら5人ずつ3班に分かれて、自分たちでテントや災害用トイレを立てます。電気もガスもないので、無人島では太陽に合わせて動きます。日没までにドラム缶風呂に使う海水をバケツで汲んだり、煮炊きに使う薪を集めたり。「家だとボタン一つなのに、無人島だと2時間もかかるんだね」なんて話をしながら風呂を沸かして、晩ごはんを食べて、焚き火をして。「あー、疲れた」と、眠りにつく、そんな行程です。

加藤 この焚き火を囲む時間が、すごくいい時間なんです。6年生なので、「自由って何だろう」とか「幸せって何だろう」とか、哲学的な話も深められる。ちなみに、無人島には5つの掟があって、その一つに「ないではなく、あるを見るべし」というものがあります。要するに、無人島には何もないけれど、あるものに目を向けて知恵を絞ろうということなのですが、仲間と協力して作業をこなしていると、自然と相手をよく観察するようになります。

3泊4日の最後の夜の、お互いの良いところを褒め合う「ほめほめタイム」の時間では、子どもたちは些細なところまで本当によく相手のことを見ているものだと感心させられます。何もない分、子どもたち一人ひとりの存在感が際立ってくるのも、無人島での野外体験ならではの特徴です。

失敗や挫折、成功体験 良質な経験が子どもの人格を作る

――子どもたちは無人島でのさまざまな経験を通して、お互いに影響を与え合っているんですね。

高濱 野外体験での一番重要なポイントは経験、つまりエピソードを子どもの心に提供することです。良質なエピソードが、その子の人格を作っていくので。

一昨年のことですが、みんな大漁なのに一匹も釣れなかった班が一つだけありました。釣れないと、晩ごはんは「醤油メシ」。みんな絶望していたのですが、しばらく様子を見ていると、「小魚を捕まえようぜ!」と浜辺にビニール袋を持ち寄って、追い込み漁的にバシャバシャやり始めたんです。20匹近く獲れはしたものの、でもこんなメダカみたいなサイズの魚をどうするんだろうと思っていたら、誰かが「アルミ箔に乗せて火で炙れば、いりこみたいに食えるんじゃね?」と言い出して、やってみたら……まさかの逆転ホームラン! 頂上級の旨さでお祭り状態になりました。

失敗も挫折も味わったけれど、それでもなんとかしようと自分たちで考えて、乗り越えた。こうした良い“乗り越え体験”が、無人島では自然に起こります。人生ってね、どんな状況でも面白くしちゃえたら勝ちなんですよ。

加藤 3泊4日のうち、最初の2日間は男女別に班を分けて、最後の1日だけあえて男女混合班にしています。チームとして上手くまとまってきたところで急に変えられるので当然反発の声も上がりますが、「思い通りにならないことがあっても、いかに楽しみを見つけるかが大事だよ」と伝えて見守ります。

私が参加した回で、2日間男の子班のリーダー的存在だった子も反発した一人でした。3日目、新しい班で釣りに行ったら、彼のところはカニがたくさん獲れて。そこで彼が、「みんなで分けない?」と提案したら、他の班も獲ったものを平等に分け合ったんです。彼は初日から周りをよく見ている子で、火起こしができない班があれば助けに行っていたんですよね。それもあってか、班を組み直しても参加者全員が一つのチームのような感じがありました。自分の意に反した状況になっても新しい楽しみ方を見つけられると知って、彼はとても生き生きとした表情をしていました。

花まる学習会

橋本 私は、竹を割り続けた男の子が印象に残っています。無人島では、煮炊きするにも、風呂を焚くにも、あらゆる場面で薪が必要になるんです。「薪の焚き付けには竹がいい」と話したら、ある男の子が、島に流れ着いた5mくらいある太い竹をひたすら割り始めた。みんなが釣りに行っても一人黙々と没頭し、終わりが見える頃には周囲に人が集まって応援している状況でした。最後の竹を割った時にはオオ~ッと歓声が上がり、彼もニヤリ。その後も、薪を使うたび仲間達に感謝されるので、そのたび彼はニヤリとしていました。おそらく彼は、これくらい力を入れたらこう割れるみたいなフィードバックが絶え間なくあるのが面白くて没頭したんだろうな、と思うんですけど。

高濱 今の時代は“没頭”を経験するのが難しくなっているんだよね。本人が自発的に何かに取り組もうとする前に、「受験するならこれをやりなさい」とか、課題を与えられてしまう。だから没頭なんてできないし、「この学校に行くには何点以上じゃないと」みたいな、社会が決めた価値観に振り回されて自分の気持ちも見失ってしまう。

行動基準が、「お母さんが喜ぶから」「その方が褒められるから」しかないと、40歳になってもやりたいことがない大人になってしまいます。でも、何か一つでも没頭した経験があれば、ちゃんと自分の直感を信じて道を決めていける。現代は、とかく理性が重んじられますが、理性と情の両方のバランスが取れてないと人間はいびつになると思います。

「先生」ではなく「リーダー」

無人島では、3班それぞれに一人ずつ「リーダー」がついて、子どもたちを見守ります。「リーダー」を務めるのは、花まる学習会の教室で活躍している先生たち。高濱代表は「まんまん」、箕浦さんは「ファイヤー」、加藤さんは「カトパン」、橋本さんは「職人」と、子どもたちからは「野外ネーム」で呼ばれ、みんなと一緒に全力で楽しみます。子どもたちがケンカをしても「先生」として仲裁には入らず、「リーダー」として相談に乗ったり、双方の言い分を聞いたり。子どもの目線に立って、成長を後押しします。

親子で野外体験をするときも、子どもの“没頭”を大切に

――家族で野外体験をする場合は、どんなことをするといいでしょうか。

高濱 幼児期は、家の近くの公園でも十分に野外体験ができます。街路樹も、虫がついたり、花が咲いたりと、四季折々で変わっていきますよね。そういった変化を親がちゃんとキャッチして、「葉っぱの色が変わってきたね」と一緒に観察することが重要です。浅い川を親子でただ遡っていくだけでも、子どもはオタマジャクシやきれいな石を見つけるものだし、ダムを作って遊びたいと言い出すこともあるはず。遠くに行かなくても、ちょっとした冒険のポイントは見つけられます。

箕浦 あとは、年に一回くらいでもいいので、子どもと一緒にビショビショ、ドロドロになって遊ぶといいと思います。そういう記憶って、不思議と子どもの心にずっと残るものなんですよね。

高濱 ビショビショ、ドロドロを、大人の基準で「汚いでしょ!」とやめさせないのは大事だよね。子どもには子どもの没頭があると、認めてあげないと。

橋本 子どもの「これやりたいね~」には、「やりたいね~」と応える。これは私たちが普段、教室や野外体験でやっていることです。家庭でも、子どもの気持ちを言葉で承認してあげることは必要だと感じています。

花まる学習会

箕浦 花まるの野外体験は親子企画もありますが、ご両親共に釣りやスキーの経験がないという方は意外と多い。親がやったことがなければ、子どもとも上手に遊べませんよね。親子での野外体験は、親子双方の成長の場にもなります。親が一生懸命やっている姿を見ると子どもはやる気を出しますし、がんばる子どもの姿を見て、親も子どもの新しい一面に気づけますから。

加藤 失敗を結果ではなくプロセスと捉えて、そこからどうするかを自分で考えるのはとても楽しいことです。苦労した分、できた時の喜びは倍増するので、その感覚をぜひ野外体験で子どもに味わわせてあげてほしいですね。

高濱 コロナの感染予防のため、今も野外活動にはさまざまな制約がありますが、子どもは大人が思っている以上にたくましい。黙食にしても、事前に説明すればそういうゲームって感じで楽しんじゃうんだよね。

箕浦 そうなんですよね。「水がほしい」ときは3、「味噌汁がほしい」なら4とか、ハンドサインを勝手に作って意思の疎通を図っていました。

高濱 大人は「コロナで制限されてかわいそう」と言うけれど、子どもは全然かわいそうじゃないんですよ。大人や社会の常識ではからずに、しっかり子どものことを見てあげる。これは野外体験だけでなく、日常生活においても最も大切なことです。

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