企業入社難易度ランキング
「10年間で入社が難しくなった企業2022」メーカー編 ランキング上位53社、コロナで注目の製薬会社が上昇
2023.01.31

学生が志望する業種や人気企業は、時代の環境とともに変遷する。企業の盛衰も時とともに移り変わる。ある業種で3番手、4番手だった企業がトップに躍り出たり、逆に花形だった業種や企業が落ちていったりすることもある。大学通信が算出している「企業入社難易度」を活用して、2022年と2012年を比較することにより、この10年間で入るのが難しくなった企業を検証した。業種別の第一回はメーカー。大学通信の雫純平氏(情報調査・編集部)が解説する。
製薬会社トップは大正製薬
この10年(2012~22年)で企業入社難易度が上がり、入社が難しくなった企業ランキングを業種別に見ていく。今回はメーカー編。
22年と12年を比較すると、学部学科の新設や募集単位の変更などにより、大学の入試難易度の平均値が0.5ポイント下がっている。入試難易度の変動分を考慮し、両年の入社難易度差に0.5ポイント加えた修正値でランキングを作成した。
10年前と比較して最も入社難易度が上昇したのは、化粧品大手のコーセー。採用判明数が41人から26人に減ったこともあり、入社難易度の総合順位も271位から102位に上がった。
22年の採用数が多い大学について、12年と比べてみよう。早稲田大4人→5人、東北大0人→2人、千葉大2人→2人、東京大0人→2人、慶應義塾大0人→2人などとなっている。10年前は採用がなかった東北大、東京大、慶應義塾大といった難関大から採用していることで入社難易度が上がっている。
化学メーカーでは、富士フイルムが10位に入った。22年の入社難易度64.3は表中トップで、総合順位でも商社や外資系コンサルに肩を並べる5位となっている。12年と比べた大学別の採用人数は、東京大12人→22人、慶應義塾大9人→13人、早稲田大19人→12人、京都大12人→11人、大阪大9人→4人、上智大2人→4人などとなっている。
このほか、P&Gジャパン(13位)、ライオン(29位)、日産化学(37位)などが上位に入っている。
入社が難しくなったランキング上位に目立つのは、新型コロナウイルスの治療薬やワクチン開発で注目された製薬会社である。トップ10のうち、製薬会社が6社を占めた。
2位は大正製薬。風邪薬「パブロン」や「リポビタンD」、育毛剤「リアップ」などで知られる。12年と比べた大学別の採用人数は、慶應義塾大5人→7人、北海道大1人→4人、京都大0人→4人、筑波大1人→3人、法政大2人→3人など。
4位は中外製薬。主力の血友病治療薬が好調で、海外向けの売り上げが大きく伸びている。新型コロナの軽症~中等症の患者に投与される抗体カクテル療法「ロナプリーブ」も好調だ。大学別の採用人数は、東京大8人→22人、京都大4人→12人、慶應義塾大2人→7人、東京理科大11人→7人、北海道大5人→6人、東北大3人→6人、早稲田大3人→6人などとなっており、東大や京大をはじめ、難関大学からの採用が増えている。
6位はファイザー。新型コロナのワクチンが21年に世界で最も売れた薬になり、米ファイザーは21年の売上高が製薬会社で世界1位になった。大学別の採用人数は、東京理科大0人→4人、千葉大1人→2人、慶應義塾大0人→2人など。採用判明数が23人から15人に減り、難関大からの採用が増えて、入試難易度55以下の大学からの採用は8人から2人に減っている。