ハイスクールラプソディー

サヘル・ローズさん 都立園芸高等学校 多彩な同級生と恩師が前へ進む力をくれた

2023.02.24

author
中村 千晶
Main Image

俳優、タレント、そしてテレビのコメンテーターとしても活躍するサヘル・ローズさん。イランの孤児院で出会った養母と8歳のときに来日し、多くの人に助けられた経験を発信し続けています。高校時代の大切な出会いについて伺いました。

サヘル・ローズ

話を聞いた人

サヘル・ローズさん

俳優・タレント

1985年、イラン生まれ。イラン・イラク戦争のさなかに孤児となり、7歳までイランの孤児院で過ごす。8歳で養母とともに来日。高校卒業前にJ-WAVEのオーディションを受けて芸能活動を始め、映画や舞台で俳優としても活動の幅を広げるほか、国際人権NGOの「すべての子どもに家庭を」の活動で親善大使を務めた経験もある。2020年にはアメリカで人権活動家賞を受賞。近著に「言葉の花束 困難を乗り切るための“自分育て”」がある。

8歳でイランから来日されたのですね。

日本語も全くわからず、文化や習慣の違いすべてに戸惑いました。ただ来日後すぐに“留学生”という立場で小学校に通うことができたんです。学校に通った一番の理由は、給食でした。家では満足に食べることができなかったので本当に助かりました。さらに困窮していた養母と私を見かねて、給食のおばちゃんが「うちにいらっしゃい」と手を差し伸べてくれたんです。日本語も校長先生と教頭先生が一対一で教えてくれ、楽しみながら覚えることができました。

中学時代にはつらい「いじめ」にあったとか。

引っ越したこと、思春期特有の「人と違う」ことを恐れる感覚など原因は複数ありましたが、偽造テレホンカードの売買などでイラン人が逮捕された、というニュースがとても多く流れたことも一因です。「捕まったの、お前の親だろ?」「お前も不法滞在者なんだろ?」などと、からかわれるのがつらかった。殴ってくれたほうがまだマシでした。唯一、大人である先生にすがりたかったけれど「気にしすぎだ」などと言われ、取り合ってもらえなかった。すべてを拒絶し、授業での先生の声もまったく耳に入らなくなり、成績はオール1でした。高校進学の選択肢は三つほどしかなく、そのなかで都立園芸高校の定時制に入学しました。

サヘル・ローズ
写真/戸嶋日菜乃(朝日新聞出版写真映像部)
続きを見る
バックナンバー
新着記事
新着一覧
新着一覧

ページトップ