学習と健康・成長

お腹が痛いけど、学校のトイレは行きづらい 「過敏性腸症候群(IBS)」に悩む子どもにできること

2023.03.27

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ゆきどっぐ
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お腹が痛い、下す、便秘になる、ガスがたまるなどの症状に悩まされる「過敏性腸症候群(IBS)」。思春期に差し掛かると、こうした症状があっても、周囲の目を気にして「トイレへ行きたい」と言い出せず、悪化してしまう子どももいます。どうすれば、子どもたちのSOSに気づいてあげられるのでしょうか。言葉かけや学校内での配慮の方法など、日本心療内科学会心療内科専門医の福土審医師に聞きました。

Shin_Fukudo

話を聞いた人

福土 審さん

日本心療内科学会 心療内科専門医

(ふくど・しん)東北大学医学部卒。医学博士。1999年より東北大学大学院医学系研究科教授。日本心身医学会理事長、国際ローマV委員会委員、1994年米国心身医学会アーリーキャリア賞、2006年文部科学大臣表彰科学技術賞、2009年米国消化器病学会マスターズ賞を受賞。秋田県出身。64歳。

小児IBSの診断基準とは

――過敏性腸症候群(以下、IBS)とは、どんな病気なのでしょうか。

おなかが痛くなったり、調子が悪かったりして排便の様子が正常時と異なる状況が2カ月以上続く状態を言います。

具体的な小児IBSの診断基準(ローマIV基準)は、次の通りです。

1. 1カ月間で腹痛が少なくとも4日以上生じ、かつ以下の1つ以上に関係する。  
 a. 排便に関係する。  
 b. 排便回数が変化する。  
 c. 便形状が変化する。
2. 便秘の児童の場合、便秘が改善しても腹痛が改善しない。
3. 適切な検査により、症状が他の疾患によるものではないことが示される。

これらの症状が診断前の2カ月間の基準を満たす場合に判断されます。

小児IBSも成人のIBSと同じように、排便の状態には「便秘型」、「下痢型」、便秘と下痢の両方の症状がある「混合型」、「分類不能型」の4種類があります。分類不能型というのは、便形状の異常が不十分で、ほかの型のいずれでもない状態を含みます。

しかし、嚥下(えんげ)困難や持続的嘔吐(おうと)、消化管出血などの症状がある場合は、IBSではない可能性があります。「おなかの調子が悪い状況が続いているからIBSだ」と自己判断で決めつけず、まずは医師の診察を受けるようにしてください。

――ガス(おなら)に悩む方もいると思うのですが、これはIBSの診断基準には含まれないのですか?

診断基準としては取り入れられていません。しかし、IBSに随伴する症状としては理解されています。IBSの診断基準を満たしている方が、その上でガスに苦しんでいる。これは症状として十分あり得ると思います。

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