一色清の「このニュースって何?」
G7広島サミットが開かれる → 議題に出てくる「グローバルサウス」って何のこと?
2023.05.12

日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが毎週、保護者にヒントを教えます。(写真は、アフリカ歴訪を前に記者団の取材に応じる岸田文雄首相=4月29日、羽田空港、榧場勇太撮影)
移り変わる新興国の名称
主要7カ国首脳会議(G7サミット)が5月19~21日に広島で開かれます。世界の主だった七つの民主主義国のトップが年に一度集まり、世界の政治や経済の問題について話し合う注目の会議です。今回の議題とされていることのひとつに、「グローバルサウスとの連携」が挙げられています。ここでグローバルサウスって何?と思う人がいるのではないでしょうか。この言葉は最近になって使われるようになったので、よくわからないのも当然かもしれません。今回は、グローバルサウスについて説明します。
朝日新聞デジタルでグローバルサウスという言葉を検索すると、グローバルサウスが使われている記事は5月9日時点で145件出てきます。ただ、2021年には1件、22年になっても5件しかありません。残り139件は23年になってから使われており、この言葉が最近いかに急速に使われるようになったかがわかります。
使われ始めのころの記事では、「グローバルサウス(主に南半球の発展途上国)」と表記していました。しかし、最近の記事では「グローバルサウスと呼ばれる新興国や途上国」という表記が多くなり、南半球にこだわらなくなっています。つまり、記者や発言者が、この言葉が出始めたころはサウスに引っ張られて南半球をイメージしていたのですが、だんだん南半球に限らず広く新興国や途上国を指す言葉として認識されるようになったようです。
実際、グローバルサウスの定義ははっきりせず、イメージのすり合わせが進んでいる段階とみられます。おそらく、G7のような先進国を北として、それ以外の新興国や途上国をグローバルサウスとする使い方に収斂(しゅうれん)していくのではないかと思われます。ただ、中国やロシアがそこに含まれるかどうかはまだよくわかりません。