大学「年内入試」 課題と希望

なぜ大学入試が年内で終わる高校生が増えたのか 教育研究者に聞く② 文教大・新井立夫教授

2023.06.08

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柿崎 隆
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「年内入試」には、定員割れしている大学が学生集めの確保の手段として学力を問わずに形式的な手続きだけで入学させている現実もあります。上のグラフのように、2022年度は全国の私立大の半分近くが定員割れになっています。これらの大学が受け入れている学生数を考えると無視できない数字です。実態はどのようなものなのか、この状況を今後どのようにしていけば良いのか、高校教員の経験があり、学校のキャリア教育などを研究している文教大学の新井立夫教授に聞きました。

新井立夫

話を聞いた人

新井立夫さん

文教大学教授

(あらい・たつお)文教大学学長補佐・就職委員会委員長・副入学センター長。1959年8月生まれ。名古屋市出身。大手ゼネコンに勤めた後、静岡県立高校に勤務して進路指導主事などを務める。2007年から文教大学。キャリア教育と生徒指導の研究に力を入れる。

「早く決めて安心したい」保護者の不安も背景に

18歳人口が減少していく中で、学生の確保に苦しむ大学は以前からAO入試や指定校推薦入試を学生募集の有効な手段として活用してきたと言えるでしょう。こうして入学してくる学生のなかには基礎学力不足だったり、大学での学修意欲が感じられなかったりという例も多くありました。いまもその流れは続いていて、2020年の改革を受けて総合型・学校推薦型選抜にも学力を問うことが求められるようになった今も、定員割れを起こしている大学を中心に、受験すればほぼ合格できるという大学が増えています。

高校生や保護者からみれば、先行き不透明な時代背景のもと「将来の見通しが立てにくい」という現実があります。大学選び一つをとっても学部や学科の統合・新設が相次ぎ、それと同時に入試形態や併願制度、受験料も含めた学費のサポートなど以前にも増してたくさんの選択肢があるのです。そんな中で生徒を含めて保護者も「早く決めて安心したい」とする傾向にあると言われています。俗に言う「安・近・短(あん・きん・たん)」志向です。早期の進路決定を求めてシフトするといった極端な動きも相まって、学力を問うことが機能しない総合型選抜、高校での学習成績の状況を問えない学校推薦型選抜などによる大学への進学希望者の増加です。

高校での実情を紹介しますと、以下のようなものです。

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