東京・上野の国立科学博物館で開催中の「恐竜博2019」。恐竜学の新時代をつくったともいえる実物化石や、本展のために復元された恐竜の全身骨格など、見どころがいっぱい。子どもも大人も歓声をあげる。本展を監修した“恐竜博士”の真鍋真さん(59)と、音声ガイドをプロデュースした放送作家の鈴木おさむさん(47)に、展示の魅力を話し合ってもらった。

 「すごい迫力だ」。鈴木さんが見上げたのは、全長約11メートルというデイノケイルスの全身復元骨格。中でも前あしは2・4メートルと大きく、指先はカギツメ状になっている。「デイノケイルスは『恐ろしい手』という意味なんです」と、真鍋さんが説明する。

 約50年前、モンゴル・ゴビ砂漠でこの「手」だけが発見された。他の部位が見つからなかったために、新種の肉食恐竜だと考えられたものの、長く「ナゾの恐竜」とされた。しかし2000年代に入ってようやく他の部位の化石がそろい、意外な姿だったことがわかった。

 「いいとこどりの恐竜だったそうですね」と鈴木さん。「ええ、様々な恐竜の特徴をあわせもっています」と真鍋さんが続ける。

 体の基本構造はダチョウ型。クチバシがあり、重い体を支えるためにヒヅメのようなあしをもった。その役割はナゾだが、背中に大きな帆もあったとされる。全身の復元骨格が公開されたのは世界初だ。

 「胃の内容物から、植物と魚の雑食性と推定されます。おなかの中にたくさんの石をもっていた。歯がないから、かまずに丸のみし、おなかの石で消化していたんでしょうね」と真鍋さんは言う。

 一方、日本一の恐竜化石とされる「むかわ竜(通称)」のコーナーで、鈴木さんは興奮を抑え切れない様子だった。

 北海道むかわ町にある約7200万年前の地層から尾の骨の一部が見つかり、一昨年までの14年間に、全長8メートル以上の骨格をつくる骨の化石がぞくぞくと発掘された。

 「全身で8割以上の骨が確認されたのは、世界的にみてもトップ級」と真鍋さんが紹介すると、「日本の恐竜は小ぶりだと思っていたけど、大きいですね!」と鈴木さん。「日本にもこんなすごいヤツがいたなんて、ワクワクします」

 「むかわ竜」は、カモハシ(カモノハシ)竜とも呼ばれるハドロサウルス科に属するとされ、新種と認められれば、日本の恐竜で8番目になる。4本のあしで歩きながら植物を食べ、大きな群れをつくって生活していたと考えられる。

 4歳の子の父である鈴木さんが注目したのは、恐竜の子育てだった。シチパチという恐竜の化石から、卵の上にかぶさっていた様子がわかる。「巣で卵を守りながら温めるという、鳥のような抱卵ですね。恐竜の段階で、ここまで進化していたということでしょう」と真鍋さん。「しかもシチパチは、メスではなくオスが抱卵していたと考えられているんです」

 「へぇ、オスが……。しっかり育児をシェアしていたんですね」。鈴木さんは化石に見入った。

 恐竜学の常識は、過去50年間に相次いだ新発見により大きく変わった。たとえば、鳥に進化する前から、ウロコでなく羽毛をもったことで恐竜は恒温動物になり、活力、知能、社会性が発達していたらしいことなどが、主流の考えになりつつある。

 「世界的な研究の最新情報を、ここでは物語を追うように、五つのゾーンで見られるようにしました」と真鍋さん。国内外の研究者の協力をえて、集めた貴重な標本が盛りだくさんだ。

 鈴木さんも言う。「知識欲とロマンをかきたてられる。人に話したくなることがいっぱいありますね」(山本晴美)

     *

 まなべ・まこと 米英などで恐竜を勉強し、1994年に国立科学博物館へ。5年前から同館の標本資料センター・コレクションディレクター。

     *

 すずき・おさむ テレビ番組の企画、構成、演出のほか、映画やドラマの脚本、エッセー、小説、漫画の原作も手がけるなどマルチに活躍。

 ■東京・上野で10月14日まで開催

 ◇10月14日[月][祝]まで、東京・上野の国立科学博物館。午前9時~午後5時(金、土曜は午後8時まで。8月11日[日][祝]~15日[木]、18日[日]は午後6時まで)。入場は閉館の30分前まで。休館日は9月2日[月]、9日[月]、17日[火]、24日[火]、30日[月]

 ◇一般・大学生1600円、小・中・高校生600円、未就学児無料。音声ガイドは550円。チケット情報など詳細は公式サイト(https://dino2019.jp/)

 ◇問い合わせ ハローダイヤル03・5777・8600

 <主催> 国立科学博物館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社

 <協賛> JR東日本、大日本印刷、トヨタ自動車

 <展示協力> 大日本印刷、DNPアートコミュニケーションズ

イベントピックアップ

特集