江戸の町には、旗本御家人や大名屋敷詰めの諸国の藩士ら、多くのサムライが暮らしていた。どんな日常を送っていたのか、その実態に迫る展覧会が両国の江戸東京博物館で開かれている。特別展「士 サムライ」は、彼らが実際に使った日用品のほか、絵画や写真など約200点の多彩な資料を集める。

 戦国の争乱が幕を閉じ、江戸時代のサムライは武功を求める武人から、行政を担う役人へと変わっていった。騎馬隊、足軽隊などの単位で編成されていた軍団も、官僚組織へと変容する。展覧会では絵巻や風俗画、古写真などを通じて、江戸のかつての風景と、そこで暮らしたサムライたちの日々をたどる。テレビドラマ「大岡越前」のモデルになった大岡忠相(ただすけ)、「遠山の金さん」として知られる遠山景元(かげもと)、幕末ヒーローの勝海舟、高橋泥舟、山岡鉄舟ら、著名なサムライの所用品もケースに並ぶ。

 「火事と喧嘩(けんか)は江戸の華」といわれたように、人々にとって最大の脅威は火事だった。多くの河川が流れる江戸は洪水も頻発。被害を最小限に食い止めるため、奮闘したのはサムライだ。当時の記録からは、最前線で奔走する彼らの雄姿が浮かぶ。

 時は巡り、欧米諸国に開国を迫られた幕府は使節団を派遣。外交交渉のためサムライは海を渡った。異国の写真館で撮影された彼らの肖像には、使命感を帯びた表情がリアルに写る。

 サムライには「士」や「侍」の字が当てられるが、本展タイトルでは「士」。知識や技能を持ち合わせ、その地位にある人物を意味するとされる「士」は、260年余り続いた太平の世を支える任務にあったサムライにふさわしい、という見方からだ。(八巻直史)

 ■来月4日まで東京・両国

 ◇11月4日[月][休]まで、江戸東京博物館。午前9時30分~午後5時30分(土曜は午後7時30分まで)入館は閉館の30分前まで。月曜および10月15日[火]は休館(ただし10月14日、11月4日は開館)。作品保護のため展示替えがあり、10月8日から後期展示

 ◇一般1100円、大学生・専門学校生880円、小中高校生・65歳以上550円、未就学児無料

 ◇問い合わせは同博物館(03・3626・9974)

 主催 (公財)東京都歴史文化財団 東京都江戸東京博物館、朝日新聞社

 <作品写真をのぞき山本倫子撮影>

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