デザイナー皆川明が設立したブランド「ミナ ペルホネン」のものづくりを紹介する展覧会が、16日から東京都現代美術館で開かれている。展示構成を建築家の田根剛、グラフィックデザインをアートディレクターの葛西薫が担う。「つづく」という、一見抽象的な言葉で表現された展覧会が表現したかったこととは。

 ■つくり手とつかい手、25年の「森」

 楕円(だえん)形の部屋に約5メートルの高さまで、ずらりとつり下げられた服、服、服……。服の「森」に迷い込んだかのような展示室には、ブランド創設時の1995年から現在まで約25年間に作られた服の一部が、年代に関係なく並ぶ。

 ファッション業界では半年ごとに新しいアイテムが発表される。時間が経つと廃れ、値下げされることが多い。そんな中、ミナ ペルホネンは原則セールをしない。シーズンを超えて、長く繰り返し愛用してもらえる服を目指している。この部屋には、最新の服も過去の服も価値に変わりがないとする、ブランドの哲学が凝縮されている。

 「土」と名付けられた部屋には、何年間も愛用された服が、着た人の言葉とともに展示されている。服と思い出を募集し、集まった約100着から15点を紹介。16年間愛用し、母親の臨終に駆けつけたときにも着ていたワンピースや、子育て中の活力になってくれたデニムのズボンなど。「記憶」を読むうちに、服が物質を超えて、人生に寄り添う存在になっていることに気づく。

 展示構成を手がけた田根は言う。「消費されずに残り、続いていくモノの姿を伝えたかった。何もかもが変わっていくばかりの風潮の中で、続けること、続くことがいかに難しくて大事なことか感じてほしい」

 皆川は日本各地を訪ね、生地生産者と対話を重ねて商品を生み出してきた。展示では、現代美術家の藤井光による映像作品で、地道な作業でモノが作られていく過程も紹介している。「モノがどう作られたか知ることは、使う人の喜びにつながる。まずはたくさんのデザインを楽しんでほしい」と皆川。

 こうも語る。「ものづくりの生産拠点が自国から離れていくなか、デザインの力で生産者やそこにある技術を残し、生かしたいという使命感がある」。目指すものづくりの姿は、展覧会のタイトルに選んだ「つづく」に込められている。(高橋友佳理)

 ■ミナ ペルホネン

 皆川明が設立したブランド。ファッションから始まった活動は、インテリアや食器など生活全般へと広がり、現在では空間づくりにも及ぶ。「ミナ」はフィンランド語で「私」、「ペルホネン」は「チョウ」の意味。想像力を元に自由に、軽やかなものづくりをする、という思いを込めた。

 ■来年2月16日まで 東京都現代美術館

 ◇2020年2月16日[日]まで、東京都現代美術館(江東区)企画展示室3F。午前10時~午後6時。入場は閉館の30分前まで。休館は月曜(祝日にあたる場合は開館し、翌火曜が休館)と年末年始(12月28日~1月1日)

 ◇一般1500円、大学・専門学校生・65歳以上1千円、中高生600円、小学生以下無料

 ◇展覧会特設サイト https://mina-tsuzuku.jp別ウインドウで開きます

 ◇問い合わせ ハローダイヤル 03・5777・8600

 主催 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館、朝日新聞社

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