東京都現代美術館で「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」が好評開催中だ。テキスタイルや洋服の展示のほか、会場に設置された不思議な形の「小屋」も見どころの一つ。ブランド「ミナ ペルホネン」のものづくりの、最新の姿の象徴ともいえる。

 ■「物を介さずとも」心地よい宿

 ミナ ペルホネンはデザイナーの皆川明が1995年に立ち上げたブランドだ。ファッションから始まり、家具や食器などの生活全般に活動の幅を広げた。現在は「物を介していなくても喜びを提供できる」という考えから、空間づくりや宿のデザインも手がける。

 2018、19年には、京都市内の京町家を心安らぐ宿に再生。欧州などに一緒に旅行する間柄の建築家中村好文が設計を担当した。室内には、ミナ ペルホネンの家具やファブリックが置かれている。

 本展の広い会場で目を引くのは、「shell house(シェルハウス)」と名付けられた建物だ。皆川は15年に「将来の夢」として、「簡素で心地よい宿の運営」を構想していた。これはその夢の「宿」のプロトタイプ(原型)で、設計は中村が担当した。

 柱はないが2階建てで、薄い壁による巻き貝の構造。渦巻きの壁は自然界の現象に見られる規則「フィボナッチ数列」に基づいており、外壁がそのまま内壁を兼ねていくつながりが特徴だ。皆川は言う。「外側の現実社会と人間の心はつながっている。また、外側の物質はやがて内側の感情や記憶になるということを示唆しています」

 27平方メートルと広くなく、豪華ではないことも重要だ。「ホスピタリティー(おもてなし)とは、サービスを与えることだけと受け取られがちですが、お客様が自分自身で喜びを作っていく場所を提供することも、一つの姿かと思う」と皆川。広さやモノの豪華さに頼らない豊かさは、中村が目指す「心地よい宿」とも合致する。中村は「見せ場を作らずに、全体が見せ場になっている。胎内で包み込まれるような安心感のある、前例のない建物ができた」と話す。

 実際の風景の中にこの建物が宿として現れるのはいつになるのか。夢は膨らんでいる。(高橋友佳理)

 ■来月16日まで 東京都現代美術館

 ◇2月16日[日]まで、東京都現代美術館(江東区)企画展示室3F。午前10時~午後6時。入場は閉館の30分前まで。休館は月曜(1月13日は開館)と1月14日

 ◇一般1500円、大学・専門学校生・65歳以上1千円、中高生600円、小学生以下無料

 ◇展覧会特設サイト https://mina-tsuzuku.jp別ウインドウで開きます

 ◇問い合わせ ハローダイヤル 03・5777・8600

 主催 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館、朝日新聞社

 ※6月27日[土]から8月16日[日]まで兵庫県立美術館に巡回予定

特集