東京・上野の東京都美術館で開催中の「没後50年 藤田嗣治展」では、藤田が絵画以外でも才能を発揮した、手作りの品を紹介している。

 戦後、フランス国籍を取得し、カトリックの洗礼も受けた藤田は、1960年、パリから南西に25キロ離れたビリエ・ル・バクルに、人生最後の時を過ごすことになる一軒家を購入した。1年間かけて廃虚同然だった農家を改装し、自宅兼アトリエとした。

 現在もメゾン=アトリエ・フジタという記念館の形で保存されているこの家は、藤田の手作りの品であふれている。ついたてやタイル、陶器、模型……。屋根裏には画材だけでなく、洋服を作るためのミシンもある。同館のアンヌ・ル・ディベルデール館長は「藤田は毎日毎日何かを作っていた」と君代夫人が話していたのを覚えているという。

 「装飾木箱」は、藤田が君代夫人にプレゼントしたもの。側面には「Kimiyo」の文字と人魚の絵が描かれている。藤田は二回り年下の夫人に、クリスマスや記念日など機会があるごとに手作りの贈り物をしていたという。

 「皿(猫の聖母子)」は、親交のあったピカソと一緒に南仏のマドゥーラ工房を訪れた際、絵付けをしたものだという。このほか擬人化した猫を描いた皿や、動物を描いたワイングラスなどが展示され、藤田の豊かな感性と遊び心に触れることができる。

 同展は10月8日まで。一般1600円など。

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