9月10日に東京・上野の東京都美術館で始まる「コートールド美術館展 魅惑の印象派」。注目は、同館が有する質、量ともに英国随一のセザンヌコレクションから厳選された、10点の油彩画だ。晩年のセザンヌが書いた手紙9通も初めて来日する。

 生前から同時代の画家に評価されたポール・セザンヌ(1839~1906)。29歳年下の画家エミール・ベルナールも彼に影響を受けた一人だ。セザンヌの芸術論を探るべく1904年2月に南仏を訪ね、セザンヌの死の直前まで手紙のやり取りを続けた。今回来日する手紙はベルナールに宛てたもので、まとまった芸術論の発表がないセザンヌの重要な資料となっている。

 「自然を円筒、球、円錐(えんすい)によって扱い、すべてを遠近法の中に入れなさい」という有名な言葉は、04年4月15日付の手紙にある。

 セザンヌは、自然の事物は円筒などの丸みを帯びた立体と同様、見る者からの距離の違いに応じて、異なる色面の連続として認識されると考えた。そのためここでは、明度の違う色彩を用いて立体感や奥行きを表現するよう説いている。

 近代絵画の父と称された彼の教えは、その意図を超えて、自然を幾何学的形態に単純化する考え方と解釈され、ピカソやル・コルビュジエにも影響を与えた。

 展覧会では、11月30日にセザンヌの専門家、永井隆則氏の特別講演会を予定。詳細は公式サイト(https://courtauld.jp別ウインドウで開きます)。

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