世界に冠たる印象派のコレクションを持つロンドンのコートールド美術館。その名品を紹介する展覧会が開かれている。注目はマネの「フォリー=ベルジェールのバー」とルノワールの「桟敷席」だ。

 2枚の作品はともに、19世紀後半のパリの社交界を活写し、絵画史に残る魅力的な女性を描いた。逸話も事欠かない。「フォリー=ベルジェールのバー」が、マネの事実上の絶筆と見なされる一方、「桟敷席」は第1回印象派展に出品された記念碑的な意味を持つ。ちなみに、劇場の桟敷席を描くのは雑誌の風刺画やモード雑誌の版画ではあったが、絵画では本作以前に見あたらない。その意味でも意義深い作品に位置づけられる。

 また、「フォリー=ベルジェールのバー」では、ミュージックホールで働く庶民階級のバーメイドが主人公に据えられたのに対し、「桟敷席」で描かれるのは、きらびやかな宝飾や豪華なドレスの女性だ。

 身分の高い既婚女性か、流行に敏感な上流階級の女性なのか高級娼婦なのか。その正体は明示されてはいない。当時の劇場は、さまざまな階級や関係性を持つ男女が入り乱れる場であり、ルノワールはそのあいまいな状態をあえて提示したとも読み解ける。

 絵画の背景に注目しつつ、2枚の傑作の共通点と違いを、じっくり見比べてほしい。

 ~3月15日、愛知県美術館◇3月28日~6月21日、神戸市立博物館

 音声ガイドは三浦春馬さん

 展覧会の音声ガイドナビゲーターは、NHKの「世界はほしいモノにあふれてる」でMCを務め、ロケで英国を訪れたこともある俳優の三浦春馬さんだ。音声ガイドは意外にも初挑戦。「作品を見るみなさんのお供ができるのがとても楽しみ」と話していた。1台560円。

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