飛鳥時代に描かれ、東洋仏教絵画の名品とされる法隆寺金堂壁画は、1949(昭和24)年1月26日、金堂解体修理中の火災で、大半が焼損した。この惨事を機に翌年、文化財保護法が制定されて、約70年がたつ。

 焼けて彩色を失った壁画は、保存処置を施して、境内の収蔵庫に納められた。58(同33)年には国の重要文化財に指定されている。現在は原則非公開だ。

 壁画を次世代に継承する取り組みは、実は明治時代から本格的に行われていた。特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」では、焼損前の模写や、原寸大の写真原板などを展示。往時の美をたどるとともに、各時代の保存活動を紹介する。

 現存する中では最も古い現状模写を残したのは、大阪の画工、桜井香雲(こううん)(1840~1902)。1884(明治17)年、国の委託を受けた彼は、金堂で壁画に紙をピンでとめ、紙を上げ下げしながら描く「上げ写し」という方法で、ひびや剝落(はくらく)まで写し取った。

 1967(昭和42)年、前田青邨らが携わって始まった再現壁画の制作では、焼損前の色や線を伝える香雲らの模写がよりどころとなった。今回、金堂に安置されている、この再現壁画の一部も出品される。

 国宝・百済観音の出陳は、東京では23年ぶり。史料が少なく、謎の多い仏像といわれ、優美な姿は人の目をひきつけて離さない。至高の姿を間近に見る貴重な機会だ。

 ■「法隆寺金堂壁画と百済観音」3月13日から

◇3月13日[金]~5月10日[日]、東京・上野の東京国立博物館本館特別4室・特別5室。月曜休館(ただし3月30日、5月4日は開館)

◇一般1200円(前売り1100円)、大学生600円(同500円)、高校生400円(同300円)。中学生以下無料

◇展覧会公式サイト https://horyujikondo2020.jp/別ウインドウで開きます

主催 東京国立博物館、法隆寺、朝日新聞社、NHK、NHKプロモーション、文化庁、日本芸術文化振興会

特別協力 東京芸術大学COI拠点、奈良県

協賛 大和ハウス工業、NISSHA、パナソニック

協力 国立情報学研究所高野研究室、文化財活用センター、奈良国立博物館、便利堂

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