定年退職、住宅ローンの完済、子どもの独立などを迎える60歳こそ、人生を自分本位に変えるチャンスです。シニア世代が生き生きと暮らせる「60ハウス」の魅力について、「60ハウス」提唱者の一級建築士・湯山重行さんに聞きました。
そもそも「60ハウス」とは、どんな家ですか

一言で言うと、60歳から人生を楽しむためのコンパクトハウスです。もともとはシニアが楽に暮らせる新しい平屋をイメージしましたが、土地のない都市部なら2階建てでもいいのです。小さくとも庭があり、バリアフリーで屋内も開放感がある。夫婦が快適に暮らせる家は、二人の個室を含む2LDKで十分です。
趣味先行型ライフスタイルの提案でもあります。男性なら車やバイク、サーフィンなど好きなものと過ごせる部屋を。長年の夢を実現できますよ。
どのくらいの予算があれば、リフォームより「60ハウス」を選んだ方が良いのでしょうか
予算が1000万円を超えたら、検討の価値ありです。
土地を持っていても、旧家屋の解体に150~200万円、新築に1200万円はかかります。1000万円以内でリフォームするのも一つの考え方ですが、掛けた費用の割には満足感を得られないケースも多い。住み続けながら解体したり、搬出したりすると手作業や工程が増え、工事期間が長くなり、全体的に割高にもなりがちです。
なぜリフォームより「60ハウス」を薦めるのですか
私自身のライフスタイルなのです。人生と仕事を両立させ、両方で輝きたい。生活主体の家をコンパクトにすることで、不必要なものがそぎ落とされ、本当にやりたいことが明確になります。いまの60歳代は、かつての40歳代くらいのイメージ。多趣味でアクティブです。小さくても貧相ではなく、おしゃれでかっこいい家がいい。
かつての家は耐震基準も今ほどではなく、リフォームをしても新築レベルにはなかなか届きません。いまの家の耐久性は50年以上。最新の品質が手に入ります。家を建て替えると、暮らしの質はまったく変わります。
「60ハウス」のコンセプトを発想したきっかけは
一つは20年以上前、バブル経済で地価が高騰した時代でも庶民が建てられる、コンパクトな2階建ての「500万円住宅」を提案したこと。
もう一つは、2011年に発生した東日本大震災です。住宅ローンが残っているのに、自宅を津波に流された人が被災地に大勢いると聞き、コンパクトハウスであれば、彼らがもう一度家を建てることができる、と考えました。
「60ハウス」は、その60歳バージョンです。バリアフリー仕様で、年齢を重ねても移動しやすく、暮らしやすい平屋を建ててハッピーになろうという提案です。
「60ハウス」をつくるには、何から準備すればよいでしょうか

人生でやり残したこと、これをやると毎日がハッピーになると思うことを、まずはリストアップしましょう。バイクが室内に収まる家が良いとか、織物やフラメンコに没頭したいとか。お子さんにお金を回し、ぜいたくを控えてきたシニア世代ですが、心の豊かさのために投資してもいいのではないでしょうか。
「60ハウス」に込めた湯山さんのメッセージとは
「家を建てて、住宅ローンを返済したら、人生はアガリ!」ではありません。「60ハウス」で人生のドリームをかなえてほしい。建て替え意欲のある方は、一歩を踏み出しませんか。
湯山 重行(ゆやま しげゆき)
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